うちのパフィ(ポメプー・メス・2歳10ヶ月)は1歳半で5.12kgになって、そこから体重が動かなくなりました。ペットショップでは「成犬で3kgくらい」と言われていたので、5kgで止まったときは正直びっくりしています。
体が止まったなら食事も切り替えるのかな、と思って袋の裏を見ました。成長段階の欄に書いてあったのは「オールステージ」。子犬用でも成犬用でもない。つまり切り替えなくていいという意味なのか、それとも自分で判断しろという意味なのか、袋には答えが書いていないんですよね。
オールステージはメーカーが勝手に付けたキャッチコピーではなく、ペットフードの表示ルールで決まっている正式な区分です。ただし「どの犬にも同じように合う」という意味ではありません。同じブランドがオールステージのフードとシニア用を並べて売っているのが、いちばんわかりやすい証拠だと思います。
オールステージは哺乳期を除く全成長段階に対応した総合栄養食です

ドッグフードのオールステージとは、哺乳期を除いたすべての成長段階で、そのフードと水だけで健康を維持できると証明された総合栄養食のことです。「全成長段階」「全年齢対応」も同じ意味で使われます。ペットフードの表示に関する公正競争規約に載っている正式な区分で、メーカーが自由に名乗れる言葉ではありません。
規約の施行規則は、総合栄養食に併記する成長段階を次のように例示しています。
| 規約の成長段階 | 袋によくある書き方 |
|---|---|
| 哺乳期 | 授乳期用、ミルク |
| 妊娠期・授乳期 | 妊娠中・授乳中の母犬用 |
| 幼犬期・成長期またはグロース | 子犬用、パピー |
| 成犬期・維持期またはメンテナンス | 成犬用、アダルト |
| 全成長段階またはオールステージ | 全年齢対応、オールステージ |
ペットフード公正取引協議会は、この最後のひとつを「哺乳期以外の段階すべてを満たすもの」と説明しています。妊娠中の母犬も、生後3ヶ月の子犬も、10歳の犬も、同じ袋でまかなえるという届け出をしている、ということですね。
ここで先に押さえておきたいのが、この5つに入っていないものは総合栄養食の成長段階として存在しないという点です。目的の欄そのものの読み方はドッグフードの一般食と総合栄養食の違いをまとめた記事に書いたので、あわせて読んでもらえると全体像がつかめると思います。
規約の成長段階は5つで、シニアという区分は無い
規約の成長段階には、高齢期・シニア期という区分がありません。哺乳期・妊娠期と授乳期・幼犬期・成犬期・全成長段階の5つだけです。ですから袋に「シニア用」と書かれたフードも、総合栄養食としての届け出は成犬期・維持期になります。シニアという言葉は栄養の区分ではなく、メーカーが対象年齢として示している目安です。
これがわかると、オールステージのフードを何歳まで使えるのかという問いの立て方が変わります。オールステージが成犬期を含んでいる以上、7歳でも12歳でも、区分の上ではカバー範囲の中なんです。「シニアになったからオールステージは卒業」という決まりは、少なくとも表示のルールとしては存在しません。
では、なぜシニア用が売られているのか。それは規約の話ではなく、メーカーが何歳の犬をどう想定して設計したかの話だからです。次から実際の数字で見ていきます。
規約はもうひとつ、面白い書き方をしています。処方を変えたあとも総合栄養食として扱える条件のひとつが「変更前と同一の成長段階であること、又はそれより栄養要求量の低い成長段階であること」。成長段階には栄養要求量の高い低いという序列があると、規約自身が認めているわけです。
シニアという区分が無いことは、フードの中身にもそのまま効いてきます。メーカーの公式数値を並べてシニアでタンパク質を下げる必要があるかを確かめた記事も置いています。
全年齢対応どうしでも中身は揃っていません

オールステージ表示のフード4製品を並べたら、タンパク質は21.4%から29%、脂質は9.5%から15%まで開きました。同じ「全年齢対応」でも、脂質は1.5倍以上の差があります。オールステージという表示は栄養基準を満たしている印であって、中身が同じという保証ではありません。
各メーカー公表値です。
| フード | 対象年齢 | タンパク質 | 脂質 | 100gあたり | ショップ |
|---|---|---|---|---|---|
| カナガンドッグフード チキン・サーモン | 全年齢対応 | 29%以上 | 15%以上 | 376kcal | |
| 安心犬活(ONEDOGS) | 全犬種オールステージ | 28%以上 | 10%以上 | 360kcal | |
| モグワンドッグフード | 全年齢対応 | 27%以上 | 10%以上 | 354.5kcal | |
| うまか(UMAKA) | 全犬種全年齢 | 21.4%以上 | 9.5%以上 | 350kcal |
カナガンとうまかを同じ量あげたら、脂質の摂取量は1.5倍以上違います。どちらもオールステージ表示で、どちらも総合栄養食。選ぶときに見るべきなのは表示ではなく数字のほう、というのがここでの結論です。
うちのように日中ソファで寝ているだけの室内犬と、毎日1時間走る犬とでは、同じ表示のフードでも合う合わないが分かれます。パフィは体重が5.12kgで止まって以降ほとんど動かないので、脂質15%のフードだと量を減らして調整することになりそうだなと考えています。
同じブランドの中でも入れ替わります。このこのごはんは鶏肉・鹿肉・まぐろの3種類がタンパク源ですが、シニアのためのこのこのごはんは鹿肉が抜けて、ルテインを含むマリーゴールドとグルコサミン、コンドロイチンが入ります。カロリーも100gあたり343kcalと334kcalで違います。
安心犬活(ONEDOGS)800g

牛・鶏・馬・魚肉・豚レバーの5種類を分けて使った国産の総合栄養食で、全犬種オールステージ対応。タンパク質28%・脂質10%・360kcalは、上の4製品の中でちょうど真ん中あたりの数字です。ただし香料やオイルコーティングをしていないぶん香りが弱く、公式自身が「最初はほとんど食べてくれない子もいる」と書いていて、20日かけた切り替えを案内しています。偏食の子はここでつまずくかもしれません。
安心犬活の口コミと返金保証の条件をまとめた記事に、Amazonの星の分布と販売チャネルの実測を載せています。
基準を満たすことと、その年齢に最適なことは別
栄養基準を満たすことと、その年齢に最適であることは別だからです。総合栄養食の基準は「これ以上」という下限で決まっている項目が多く、上限が決まっている栄養素は限られます。つまり基準を満たしたまま、脂質を厚くすることも薄くすることもできます。同じブランドが全年齢版とは別に子犬用・シニア用を出すのは、その幅の中でどこに置くかを変えているからです。
レティシアンのカナガンは、まさに3本を並べて売っています。
| カナガンのチキン | 対象年齢 | タンパク質 | 脂質 | 100gあたり |
|---|---|---|---|---|
| 通常(全年齢対応) | 全年齢対応 | 29%以上 | 15%以上 | 376kcal |
| 子犬用 | 15ヶ月齢以下 | 38%以上 | 17%以上 | 393kcal |
| シニア用 | 7歳以上 | 31%以上 | 12%以上 | 372kcal |
子犬用はタンパク質が9ポイント高い。ここは納得しやすいところです。驚いたのはシニア用のほうで、全年齢版との100gあたりのカロリー差がたった4kcalしかありません。 1日80g食べる犬なら、1日あたり3kcalちょっとの差です。
同じことをモグワンでやると結果が変わります。
タンパク質は27%のまま据え置きで、脂質だけ10%から6%へ落としています。カロリー差は19.5kcal。同じ「シニア用」という言葉でも、ブランドによって何を変えているかがまったく違うんですよね。カナガンは脂質を3ポイント下げただけ、モグワンは脂質を4割落としている。
エッセンシャルのオールダー シニア用はさらに別の作りで、タンパク質を30%以上と成犬用より高くしたうえで、脂質だけ4ポイント落として343.5kcalにしています。「シニア用は全体的に軽くしたもの」というイメージで買うと、中身と食い違うことになります。
この幅は、同じ会社のフードを横に並べるともっとはっきりします。レティシアンの9点を乾物量あたりのタンパク質で計算したら、いちばん低いマックアダムズが19.2%、いちばん高いカナガンデンタルが33.0%でした。13.8ポイントの開きです。マックアダムズとモグワンの比較に9点の一覧を出しました。
モグワンドッグフードのチキン&サーモン(シニア用1.5kg)

7歳を境目に用意されたバージョンです。動物性原材料の比率は通常版56.5%に対して52.1%で4.4ポイント下がっていますが、通常版から抜けた原材料はありませんでした。関節向けのグルコサミンとコンドロイチン(どちらも軟骨の材料になる成分)、MSMは通常版にも入っていて、シニア用ではそこに緑イ貝が上乗せされています。
成犬用フードと比べると、オールステージは高いほうに寄せてあります

オールステージのフードを成犬に与えると、成犬専用フードよりタンパク質も脂質も高くなることが多いです。全年齢対応は成長期の基準も満たす必要があるので、成犬だけを想定した設計より上に置かれるからです。ロイヤルカナンのミニ インドアで比べると、その差がはっきり出ます。
| フード | 対象年齢 | タンパク質 | 脂質 | 100gあたり |
|---|---|---|---|---|
| ロイヤルカナン ミニ インドア パピー | 生後10ヶ月齢まで | 25.0%以上 | 16.0%以上 | 396kcal |
| ロイヤルカナン ミニ インドア アダルト | 生後10ヶ月齢以上 | 19.0%以上 | 12.0%以上 | 377kcal |
| カナガンドッグフード チキン・サーモン | 全年齢対応 | 29%以上 | 15%以上 | 376kcal |
室内の小型犬向けに作られた成犬用フードがタンパク質19.0%なのに対して、オールステージのカナガンは29%。10ポイント違います。脂質も12%と15%で、オールステージのほうが上です。
参考までに、総合栄養食の栄養基準のもとになっているAAFCO(米国飼料検査官協会)の値では、成長期・繁殖期がタンパク質22.5%以上・脂質8.5%以上、成犬維持期がタンパク質18.0%以上・脂質5.5%以上。オールステージを名乗るには前者を満たす必要があるので、必然的に成犬用より上の設計になります。
これは良い悪いの話ではありません。よく走る子や食が細くて量を食べられない子には、栄養密度が高いほうが向きます。逆にパフィのようにほとんど動かない子だと、同じ量では余ることになる。表示ではなく、うちの犬の運動量と体重の動きで判断する、というのがここでの結論です。
うちのパフィで実際に起きた、脂質の差と食いつきの差
パフィは低脂肪タイプを残しました。プッチーヌが品切れだった時期に、ドギーマンの無添加良品 からだ想いの毎日ごはん 体重管理用(粗脂肪2.0%のセミモイスト総合栄養食)を使ったところ、食べないわけではないけれど「待ってました」の勢いがなく、残す日が増えたんです。そのあと同じシリーズの通常タイプ(子犬〜成犬用・粗脂肪4.0%)を少量買って試したら、こちらのほうが明らかに食いつきが良かった。
同じメーカー、同じ半生タイプ、違うのは対象と脂質だけ。粗脂肪の差は2ポイントです。それでパフィの反応が変わりました。正直、ここまで違うとは思っていませんでした。
食いつき順は、プッチーヌ > 無添加良品 通常タイプ > 無添加良品 体重管理用。低脂肪タイプは脂肪を抑えているぶん、香りと旨みの出方が淡白に感じられたようです。
この経験から思うのは、成長段階の表示を「合う・合わない」の判断に使いすぎないほうがいいということ。オールステージだから安心でもないし、シニア用だからシニアに合うとも限らない。うちの場合、決め手になったのは年齢ではなく脂質の数字でした。偏食そのものへの向き合い方はカリカリを食べない愛犬の記録にまとめてあります。
- 価格
- 394円(税込)
- 単価
- 1袋200g(50g×4パック)
- メーカー
- ドギーマンハヤシ株式会社
- タイプ
- ドライフード
見る順番は、目的、成長段階、カロリーの3つ

順番に見ていくと迷わなくなります。上から順に、目的・成長段階・カロリーです。
- 目的の欄を探す。 「総合栄養食」と書かれていなければ、そもそも成長段階の表示義務がありません。一般食やその他の目的食は主食として設計されていないので、ここで判断が変わります
- その隣の成長段階を見る。 全成長段階、オールステージ、全年齢対応のどれかであれば、哺乳期を除く段階すべてが対象です。子犬用・成犬用と書かれていれば、その段階専用として届け出されています
- 100gあたりのカロリーと、体重別の給与量表を見る。 ここが実際の判断材料になります。同じオールステージでも350kcalと376kcalでは、1日80gあたり20kcalの差が出ます
給与量表の読み方でひとつ注意したいのが、子犬に与える場合です。子犬用フードの給与量表は今の体重ではなく、成犬時の予想体重で見るのが基本になっています。パフィは3kgと言われて5.12kgになった子なので、この予想が外れる可能性を当時まったく考えていませんでした。今思うと、そこは反省しています。
切り替えるときの日数と量の配分はドッグフードの切り替え方法をまとめた記事に、月齢別の給与量は子犬のご飯の量と回数の記事に書いています。
袋の裏で見る場所をもう1つ足すなら賞味期限です。表示が義務づけられている項目ですが、未開封を前提に設定された数字なので、開けてからの日数は別に数えることになります。根拠になる条文は袋の賞味期限が未開封の数字である理由で確認しました。
子犬は粒の大きさと回数、シニアはカロリーを見る
子犬に使うなら粒の大きさと回数、シニアに使うならカロリーを見ます。オールステージは栄養の基準としては両方をカバーしていますが、食べやすさと量の調整までは面倒を見てくれません。
子犬の場合、まず粒が噛みにくいことがあります。オールステージのフードは成犬も想定しているので、子犬専用より粒が大きめに作られていることがあるんです。うちもお迎え直後はドライをぬるま湯でふやかしていました。ふやかすと香りが立って、鼻を近づけてくれたのを覚えています。回数も、生後3ヶ月ごろは1日3〜4回に小分けしていました。
シニアの場合は、上で見たとおりカロリーです。運動量が落ちてきたのに同じ量を続ければ、当然余ります。ただ「7歳になったから切り替える」という機械的な判断はしなくていいと思っていて、体重が増え始めたか、便の様子が変わったか、といった実際の変化を見てから動くほうが確実です。シニア期の切り替えの目安はシニア犬のフードはいつから切り替えるかをまとめた記事に詳しく書きました。
もうひとつ、大型犬の子犬を迎える方向けの話を。アメリカのAAFCOでは2016年以降、成犬時に70ポンド(約32kg)を超える見込みの大型犬の子犬について、カルシウムの上限を下げた基準が別に設けられています。パッケージにも「大型犬の成長期を含む」「大型犬の成長期を除く」を書き分けるルールがあります。日本の公正競争規約には、これに対応する表示の区分がありません。 大型犬の子犬にオールステージのフードを使う場合、日本語の表示だけでは判断できないので、メーカーに確認するのが確実です。うちは小型犬なので直接は関係しませんが、知っておくと安心だと思って書いておきます。
国産で大型犬用に作り分けているブランドもあります。大型犬のためのこのこのごはんは1袋3kgのオールステージ対応で、カロリーは100gあたり356kcal。同じブランドの通常版343kcalより高いほうに振ってあります。
同じ棚に置いて比べると、設計の違いがはっきり見える

同じ棚に置いて比べると、設計の違いが見えます。上の段が哺乳期を除く全段階をカバーするフード、下の段が段階を絞ったフードです。
モグワンドッグフード

全年齢対応のオールステージ。タンパク質27%・脂質10%・354.5kcalで、上の比較表の中では真ん中よりやや控えめな設計です。チキンとサーモンを56.5%配合したグレインフリーで、粒は約8〜12mmのドーナツ型。真ん中に穴が開いているぶん噛み砕きやすくなっています。7歳以降に迷ったら、同じレシピのシニア用へ横移動できるのがこのブランドの利点かもしれません。
口コミの中身はモグワンの口コミを検証した記事にまとめています。
カナガンドッグフードのチキン・サーモン

同じく全年齢対応で、タンパク質29%・脂質15%・376kcal。今回並べた4製品の中でいちばん栄養密度が高い作りです。よく運動する子や、量を食べられない子に向きます。逆にうちのパフィのような運動量の少ない室内犬だと、給与量表どおりに出すと多くなりやすいので、体重を見ながら調整することになりそうです。
ミシュワン小型犬用

こちらは成犬用として作られた国産フード。国産鶏肉と馬肉を使っていて、小型犬向けに粒が小さく設計されています。オールステージではなく成犬に絞っているぶん、成犬の運動量に合わせた設計になっているのが選ぶ理由になります。
エッセンシャルドッグフードのオールダー(シニア用2.5kg)


タンパク質30%以上を保ったまま、脂質だけ成犬用より4ポイント落として343.5kcalにしたシニア用。同ブランドのドライ8種類の中でいちばんカロリーが低い作りです。「筋肉は落としたくないけれど太らせたくない」という設計思想が数字に出ていて、シニア用の中でも珍しいタイプだと思います。
うちは成長段階より、半生と小分けで先に絞っている
パフィは半生タイプでないと食べてくれない子なので、選択肢がそもそも多くありません。今のところ、成長段階の表示より先に「半生であること」「小分けであること」で絞って、そのうえでカロリーを見る順番にしています。
オールステージという表示は、選択肢を狭めなくていいという意味では便利です。多頭飼いなら1袋で済むし、年齢が変わるたびに切り替えを考えなくていい。ただ「オールステージだから何も考えなくていい」ではないんですよね。同じ表示でも脂質が1.5倍違うことがあるし、シニア用に変えても実質4kcalしか変わらないこともある。
袋の表に大きく書いてある言葉より、裏の小さい数字のほうが役に立つ。パフィのフードを何度も変えてきて、いちばん実感しているのはそこです。









