馬肉自然づくりの成分表を最初に見たとき、粗灰分2.2%以下という数字で手が止まりました。
サイトに登録している総合栄養食の灰分を並べてみると、うまかが6.8%以下、安心犬活が7%以下、アカナが7%以下。馬肉自然づくりだけが3分の1以下です。ドッグフードのレビュー記事をいくつか読んでも、この差の理由を説明しているものは見つかりませんでした。いぬなびに載っている獣医師のコメントも「粗灰分がやたらと低いのが疑問」で止まっています。
答えは、このフードが一般食であることと同じところにあります。以下は公式サイトとペットフード公正取引協議会の資料から確認した数字です。
粗タンパク質27.0%以上、粗灰分2.2%以下と低い
馬肉自然づくり1kgの保証成分値は、粗タンパク質27.0%以上、粗脂肪11.1%以上、粗繊維5.2%以下、粗灰分2.2%以下、水分7.0%以下、エネルギー399kcal/100gです。国産ドライフードとしてはタンパク質が高め、脂質は控えめ、水分がかなり低いという並びになっています。

| 成分 | 値 |
|---|---|
| 粗タンパク質 | 27.0%以上 |
| 粗脂肪 | 11.1%以上 |
| 粗繊維 | 5.2%以下 |
| 粗灰分 | 2.2%以下 |
| 水分 | 7.0%以下 |
| エネルギー | 399kcal/100g |
水分7.0%以下というのは、ドライフードの中でも低いほうです。手元にある他の国産ドライはほとんどが10%以下。この3ポイントの差が後で効いてくるので、覚えておいてください。
「以上」と「以下」では保証している向きが逆です
ペットフードの成分表で必ず表示することになっているのは、たんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分の5つです。このうちたんぱく質と脂質には「以上」、粗繊維と灰分と水分には「以下」が付きます。前の2つは栄養価を示すので最低量の保証、後の3つは不要な成分なので上限の保証、という考え方です。
ここを読み違えると数字の意味が変わります。粗灰分2.2%以下は、灰分が2.2%入っているという意味ではありません。 2.2%を超えないという保証です。実際の含有量はこれより少ない可能性もあります。
粗タンパク質27.0%以上のほうも同じで、27.0%ちょうどとは限りません。それ以上入っているという約束です。だから他のフードと比べるときは、あくまで「保証されている線」同士を比べていることになります。
水分をそろえて比べると数字が少し上がります
成分表の数字は、水分を含んだ製品そのものに対する割合です。水分の量が違うフード同士をそのまま比べると、水が多いほうが不利に見えます。
馬肉自然づくりは水分7.0%以下なので、残りの93%が中身です。ここを100%に直すとこうなります。
| 成分 | 表示値 | 水分をそろえた値 |
|---|---|---|
| 粗タンパク質 | 27.0%以上 | 約29.0% |
| 粗脂肪 | 11.1%以上 | 約11.9% |
| 粗繊維 | 5.2%以下 | 約5.6% |
| 粗灰分 | 2.2%以下 | 約2.4% |
水分10%のフードと比べるときは、この右の列を使います。表示値のままだと、馬肉自然づくりのタンパク質を2ポイントほど低く見積もることになる。地味ですが、比較記事を読むときに知っていると数字の見え方が変わります。
原材料17種は、含有量の多い順に並んでいます
原材料は馬肉、鶏肉、玄米、大麦、黒米、きなこ、かつお粉、米ぬか、馬油、おから、はと麦、たまご、わかめ、小松菜、昆布、ビール酵母、卵殻カルシウムの17種類です。ペットフードの原材料は多い順に書く決まりなので、この並び順そのものが情報になります。
不使用と明記されているのは、牛肉、乳製品、小麦、着色料、保存料、酸化防止剤、オイルコーティングの7つ。製造は熊本県の自社工場です。
上の5つで、このフードの土台が決まります
馬肉、鶏肉、玄米、大麦、黒米。動物性が2つ、穀類が3つという構成です。
穀物不使用ではありません。玄米・大麦・黒米に加えて、下のほうにはと麦と米ぬかも入っています。穀物を避けたい方針の家では選択肢から外れます。うちはグレインフリーにこだわっていないので、ここは気にしていません。
かつお粉が7番目にあるのも、この位置なら香りの主役になる量です。楽天のレビューで「開けた瞬間出汁の匂いがする」「かつお節のようなにおい」と書いている人が多いのは、たぶんこれとオイルコーティングをしていないことの合わせ技です。表面に油を吹き付けていないと、素材のにおいがそのまま出ます。
鶏肉が2番目、たまごが12番目に入っています
馬肉フードを探している人の多くは、アレルギーが理由だと思います。ただこのフードは、馬肉の次に鶏肉が来ます。 たまごも12番目に入っています。
牛肉・乳製品・小麦は入っていないので、そこが合わない子には候補になります。一方で鶏や卵が合わない子には向きません。「馬肉のフードだからアレルギー対応」とまとめてしまうと、ここを見落とします。
心当たりがあるなら、先に犬の食物アレルギーとフードの選び方を読んでから原材料を見てもらうほうが早いです。除去食の考え方と、疑わしい原材料の絞り方をまとめてあります。
カルシウム源は卵殻カルシウム1つだけです
17種のうち、ミネラルを足す目的ではっきり入っているのは最後の卵殻カルシウムだけです。順番が最後ということは、量がいちばん少ないということでもあります。
合成のビタミン剤・ミネラル剤の名前は、原材料のどこにも出てきません。ビタミンEもタウリンも、酸化防止剤としてよく使われるミックストコフェロールも書かれていない。これが次の灰分の話に直結します。
粗灰分2.2%以下は、総合栄養食のおよそ3分の1です
灰分はミネラルの総量を表す数字です。フードを燃やしたあとに残る灰の重さで、カルシウム・リン・カリウム・ナトリウムなどを合わせたものだと考えてください。馬肉自然づくりの2.2%以下は、うちのサイトに登録している総合栄養食と比べてはっきり低い水準です。
水分をそろえて計算し直しても差は残ります。馬肉自然づくりが約2.4%、うまかが約7.6%、安心犬活が約7.8%、アカナが約8.0%、グランツが約9.4%。表示値の見かけの差ではなく、中身の差です。
比較相手にうまかを置いたのには理由があります。うまかも国産で、オイルコーティングをしていない九州の鶏のフードです。作り方の思想が近いのに、灰分は3倍。違いは製法ではなくて、栄養基準を満たすためにミネラルを添加しているかどうかだと考えるのが自然です。
安心犬活が灰分7%になる理由は、原材料の側からも確かめられます。2025年9月からビタミンとミネラルを補強したことを、メーカー自身が告知していました。
いぬなびの記事に載っている獣医師の評価は3.0で、コメントは「牛豚アレルギーのある健康な犬に良いと思われるが、粗灰分がやたらと低いのが疑問」でした。疑問と書かれているのは、たぶん理由の説明がどこにも無いからです。理由自体は難しくありません。足していないから低い。 カルシウム源が卵殻カルシウム1種類しかない原材料表と、きれいに符合します。
低いこと自体が悪いという話ではないですし、それを判断できるのは獣医師です。ただ「数字が低いほど良い」でも「高いほど良い」でもなく、何を足していないかの結果としてこの数字が出ている、という読み方はしておきたいところ。
AAFCOの基準は超えているが、総合栄養食は名乗っていない
AAFCOが定める成犬維持期の基準は、粗タンパク質18.0%以上、粗脂肪5.5%以上です。馬肉自然づくりを水分をそろえて換算すると約29.0%と約11.9%なので、どちらも余裕で超えています。それでもこのフードは総合栄養食を名乗っていません。
理由は成分値ではなく、手続きと中身の両方にあります。
ペットフード公正取引協議会の規約では、総合栄養食を表示するには分析試験か給与試験で基準を満たすことを証明し、協議会へ届け出をすることになっています。表示できるのは協議会の会員です。つまり数字が超えていれば自動的に名乗れるわけではない。
そして基準はタンパク質と脂質だけではありません。ビタミン・ミネラルを含めた項目全体で決まります。天然の食材だけで全部の項目を埋めるのはかなり難しく、多くのフードは合成のビタミン剤・ミネラル剤を足して基準に合わせています。灰分2.2%以下という数字は、そこを足していないことの表れです。
公式サイトのよくある質問には、こう書かれています。
総合栄養食は、自然食材だけではなく、サプリメントなどを添加して基準を満たす必要があります。健康いぬ生活では、自慢の馬肉と日本の安心できる原材料で自然食に近いフードを実現したく、今回は「馬肉自然づくり」の開発段階から、あえて総合栄養食にしませんでした。
同じ回答は「一般食ではありますが、必要な栄養成分がしっかりと含まれておりますので、主食としてご利用いただけます」と続きます。ここは飼い主として受け取り方を決めておいたほうがいい部分です。
規約のほうは、一般食や副食について「一日に必要な栄養を満たすために別途栄養補給する必要がある旨、または同時に与える必要があるペットフードや食材の名称を併記する」ことを求めています。メーカーの説明と、規約が前提にしている扱いは、同じ方向を向いていません。 どちらが正しいという話ではなく、そういう位置にある商品だということです。
うちなら、これ1袋で長期間まかなうという使い方は選びません。総合栄養食と組み合わせるか、主食にするなら獣医師に相談してからにします。価格や食いつきより先に決めておくのはここだと思っています。
商品そのものの価格・サイズ・楽天レビュー104件の内訳は馬肉自然づくりの商品ページにまとめてあります。
プレミアムとは、17種の中身がここまで入れ替わっています
同じシリーズの馬肉自然づくりプレミアム(800g)は、原材料の数こそ同じ17種ですが、中身がかなり違います。馬肉、鹿肉、猪肉、大麦、玄米、鰹節、ビール酵母、甜菜繊維、黒米、馬油、豚レバー、米油、はと麦、昆布、わかめ、小松菜、貝類未焼成カルシウムという並びです。
| 項目 | 馬肉自然づくり | プレミアム |
|---|---|---|
| 主なタンパク源 | 馬肉、鶏肉 | 馬肉、鹿肉、猪肉、豚レバー |
| 鶏肉・たまご | 入る | 入らない |
| カルシウム源 | 卵殻カルシウム | 貝類未焼成カルシウム |
| 粗タンパク質 | 27.0%以上 | 24.8%以上 |
| 粗脂肪 | 11.1%以上 | 7.8%以上 |
| 粗繊維 | 5.2%以下 | 1.9%以下 |
| 粗灰分 | 2.2%以下 | 4.6%以下 |
| 水分 | 7.0%以下 | 10.0%以下 |
| エネルギー | 399kcal/100g | 345kcal/100g |
| 内容量と通常価格 | 1kg・3,840円 | 800g・4,380円 |
いちばん分かりやすいのはカルシウム源です。鶏卵を外したので、卵殻から貝殻に替わっている。原材料表を上から下まで読むと、こういう置き換えが見えてきます。
数字のほうは、プレミアムがタンパク質も脂質も低く、カロリーも345kcalと控えめ。粗繊維は1.9%以下まで下がります。灰分は4.6%以下で通常版の倍ですが、それでも総合栄養食の水準には届きません。プレミアムも一般食です。
鶏や卵が合わない子ならプレミアム、そうでないなら価格と量で通常版、という分かれ方になります。100gあたりで見ると通常版が384円、プレミアムが548円で、差は小さくありません。
なおプレミアムは、まだうちのサイトに商品ページを作っていません。公式サイトで確認した値です。
399kcalから、1日に何グラムかを逆算する
公式の目安は体重5kgで1日82g、10kgで138gです。商品ページ本体には表が出ていないので見落としやすいのですが、同封の資料と販売ページに載っています。あわせて体重とライフステージと体型を入れると1日の量を出してくれる計算ページも用意されていて、ここには同社4商品のカロリーが並んでいました。馬肉自然づくりが399kcal、プレミアムが345kcal、馬肉芳醇づくりが308kcal、健康いぬ生活フレッシュが122kcal(いずれも100gあたり)です。
自分で計算するなら手順は3つです。
- 愛犬の1日の必要カロリーを確認する(動物病院で聞くか、上の計算ページを使う)
- その数字を399で割って100を掛ける。これが1日のグラム数
- 1000をそのグラム数で割ると、1kgの袋が何日もつかが出る
パフィ(5.12kg)を公式の表に当てはめると83g。うちが普段の目安にしている250〜290kcalで計算すると63〜73gなので、公式のほうが多めに出ます。どちらが正しいという話ではなくて、活動量と体型を見ながらこの幅の中で決めることになります。1袋は2週間前後もつ計算です。
必要カロリー別に並べるとこうなります。
| 1日の必要カロリー | 1日の量 | 1kgの袋がもつ日数 |
|---|---|---|
| 200kcal | 約50g | 約20日 |
| 250kcal | 約63g | 約16日 |
| 300kcal | 約75g | 約13日 |
| 350kcal | 約88g | 約11日 |
| 400kcal | 約100g | 約10日 |
| 500kcal | 約125g | 約8日 |
この表には別の使い道があります。開封後の賞味期限が1ヶ月なので、1日33g以上食べる子でないと1kgを1袋使い切れません。 体重2kg前後の子だと1日30g前後になることがあるので、その場合は100g・550円のサイズを試してから決めるほうが無駄が出ません。
一般食なので、総合栄養食に混ぜて使うならこのグラム数をそのまま当てはめるわけにはいきません。混ぜる割合の分だけ減らして、全体のカロリーが必要量を超えないようにします。うちはおやつの分もこの考え方でやりくりしていて、1日の総カロリーの1割くらいを上限の目安にしています。
主食を丸ごと任せるより、主食に足す枠が素直な置き方です
まとめると、高タンパク・中脂肪・低灰分・低水分の国産ドライで、ミネラルを添加していないぶん総合栄養食の基準は満たしていない、という性格になります。主食を丸ごと任せるより、主食に足す枠のほうが素直な置き方です。
向いていそうなのは、牛肉・乳製品・小麦を避けたい子(鶏と卵は平気な子)、フードのにおいが部屋にこもるのが苦手な家、油でベタつくのが嫌な人。
向いていないのは、1袋で栄養を完結させたい人、穀物を避けている家、鶏や卵が合わない子(この場合はプレミアム)です。
脂質11.1%という数字については、うちに小さい実感があります。パフィに無添加良品の体重管理用(粗脂肪2.0%)をあげていた時期、通常タイプ(粗脂肪4.0%)に替えたら食いつきが目に見えて変わりました。低脂肪のほうは食べないわけではないけれど、残す日が増えた。脂質は数字が小さいほど良いものではなくて、香りと旨みの出方に直結します。 馬肉自然づくりの11.1%は、食いつき側に寄せた設計に見えます。
一般食を足し算で使うなら、生肉タイプという選択肢もあります。同じ利他フーズが作っている犬用の馬肉ミンチは、ドライに混ぜるトッピングとして考えると使い方が近いです。
馬肉パラパラミンチ

冷凍のミンチで、人が食べる馬刺しと同じ品質の馬肉を使っています。100gあたり約175kcalなので、ドライの半分以下。少量を足しても総カロリーが跳ね上がりません。ドライを食べない日の呼び水として使っている人が多い商品です。解凍の手間と、生肉なので扱いに気をつける必要はあります。
馬肉パラパラミンチの商品ページに、解凍のしかたと1日の目安量をまとめてあります。
トッピングの足し方そのものはドッグフードのトッピングの考え方に書きました。カロリーの引き算をせずに足すと太る、という当たり前のところでうちも失敗しています。
買う前に見るなら、この3つの数字です
馬肉自然づくりの成分表で最初に見るべきなのは、粗灰分2.2%以下、原材料の2番目にある鶏肉、そして399kcalの3つだと思います。
灰分はこのフードが一般食である理由そのもので、主食にするかどうかの判断に直結します。鶏肉の位置はアレルギー目的で選ぶ人が見落としやすいところ。399kcalは1日のグラム数と、1袋が何日もつかを決めます。
タンパク質27.0%という数字は目を引きますが、そこだけ見て決めるものではないというのが、17種の原材料と6つの成分値を並べてみた感想です。
うちのパフィはドライを食べない子なので、もし切り替えるならドッグフードの切り替え方に書いたとおり1ヶ月かけます。カリカリを食べない子はいきなり替えても食べてくれないので、そこは焦らないほうがいいです。






