ごはんを出した瞬間、10秒で皿が空になる。そんな食べ方を見て「これ、本当に大丈夫なのかな」と検索してきた方だと思います。早食い防止食器は、皿の中に突起を並べてわざと食べにくくする道具です。効くのか効かないのか、ネットの情報は正反対のことを書いていて、余計に迷いますよね。
そこで、サイト内で扱っている商品を含む4点の楽天レビュー2,397件を1件残らず読んで数えました。食べ終わりまでの時間を「前」と「後」の両方で書いていた人が16人いて、その数字を並べると、はっきりした形が出てきます。8秒で食べていた子も、2分かけていた子も、替えたあとは2分から5分の間に集まるんです。
ただし同じレビューの中に、166件の「慣れて速くなってきた」がありました。これは犬10頭で9日間続けた実験の結果とも一致します。効果の中身と、その効果がどこまで続くのかを、順番に書いていきます。
犬の早食い防止食器の効果は、食べ終わりが2〜3分に延びることです

早食い防止食器とは、皿の底に突起や溝を作って、フードを一口でかき込めないようにした食器のことです。犬は突起の隙間を舌で探しながら食べるので、食事の時間が物理的に延びます。しつけで早食いを直す道具ではありません。
どのくらい延びるのか。楽天のレビューには「何秒だったのが何分になった」と書いてくれている人がいます。陶器製の早食い防止皿133件から、前と後の両方を数字で書いていた16件を拾い出しました。
| 犬 | 替える前 | 替えた後 |
|---|---|---|
| シュナウザー | 10秒かかっていない | 3分以上 |
| 記載なし | 10秒ほど | 2分 |
| 生後3か月ミニチュアシュナウザー | 十数秒 | 5分以上 |
| パグ4kgと7kg | 15〜30秒 | 1分30秒以上 |
| チワワ | 20秒 | 3分 |
| 記載なし | 20秒 | 2分30秒 |
| 記載なし | 30秒たたず | 2分以上 |
| 記載なし | 30秒ほど | 1分〜1分ちょっと |
| 記載なし | 50秒ほど | 2〜3分 |
| 13歳チワワ | 1分ほど | 5分以上 |
| 記載なし | 1分ほど | 2分半〜3分 |
| 記載なし | 1分ほど | 3分以上 |
| 記載なし | 1分くらい | 2分 |
| 1歳イタリアングレーハウンド | 1分かからず | 1分以上 |
| 1歳ミニチュアダックス | 1分30秒〜2分 | 2分30秒〜4分 |
| チワワ | 2分かからず | 5分 |
面白いのは、替える前がばらばらなのに、替えたあとが揃うことです。前は8秒から2分近くまで14倍の開きがあるのに、後は16件のうち13件が2分から5分の間に入りました。1分台で終わったのは3件だけです。
つまり「何倍になるか」は元の速さで決まります。10秒で食べていた子は10倍以上になり、1分かけていた子は2〜3倍。行き着く先はどの子もだいたい2〜3分で、そこから先には延びないと考えておくと、買ったあとにがっかりしません。
「3倍になる」と書いている商品ページをよく見かけますが、元が速い子にはもっと延びるし、もともと1分かけている子は2倍で止まります。倍率は商品の性能というより、その子の元の速さの話です。
9日で犬は慣れて速くなる。ただし普通の皿より遅いままです

早食い防止食器を使い続けると、犬はだんだん上手に食べられるようになります。これは飼い主の実感としてだけでなく、実験でも確かめられています。
イギリスのハーパーアダムス大学が、家庭で暮らす犬10頭で調べています。年齢は1歳から12歳、体重は4.5kgから30kg、犬種もさまざま。普通の皿と芝生型の早食い防止食器を、それぞれ9日間ずつ使ってもらい、1日1回、半生フードを1日量の半分だけ与えて、1秒ごとに記録したものです。
結果は、早食い防止食器を使った9日間の記録としてまとめられています。早食い防止食器のほうが食べ終わるまでの時間は長く、1分あたりに食べる量も少なくなりました。どちらも統計的に意味のある差です。
問題はその先でした。9日目の犬は、1日目の犬より速く食べられるようになっていたのです。普通の皿のほうにはこの変化が起きていません。つまり慣れが起きるのは早食い防止食器の側だけ、ということになります。
うちの記事で扱っている商品を含む2,397件のレビューのうち、166件が同じことを書いていました。
使用しはじめは食べるのが遅くなりましたが、慣れてからは普通のお皿より少し遅い程度になりました。
落ちる先が「普通のお皿より少し遅い」で止まっているのがポイントです。ゼロには戻りません。
3歳ヨープー早食いが少しマシになりましたが、だんだんコツを掴んできて速度が上がっている様な気がします。
買った直後の「5分もかかった!」が、2週間後に「3分」になるのは普通のことです。ここで「効果が消えた」と判断しないでください。実験でも慣れたあとの犬は、普通の皿で食べるときよりは遅いままでした。落ちるのは最初の驚きであって、効果そのものではありません。
もうひとつ、この実験には書いておきたい結果があります。普通の皿と早食い防止食器を並べて「どちらから食べるか」を10日間試したところ、犬は普通の皿のほうを選びました。「食事がゲームになって楽しい」という売り方をよく見かけますが、犬の側がそれを望んでいる証拠は出ていません。飼い主のための道具だと割り切って使うほうが、期待が正しい向きになります。
効果ないと言われる原因は、フードの入れすぎと突起の高さです

「早食い防止 効果ない」で検索されるのには理由があります。慣れの話は先に書いたので、それ以外の3つを挙げます。
ひとつめはフードを入れすぎることです。 突起の高さより多く盛ると、突起が埋まって、ただの平たい皿に戻ります。レビューにこんな声がありました。
40gの餌は器の肉球が隠れるくらいまで入りました。1分27秒で、完食。せめて3分くらいかかってくれると期待していたのですが。
書いたのは1歳5.6kgのポメプーの飼い主さんで、うちのパフィとほぼ同じ体重です。もともと47秒だったので倍にはなっているのですが、突起が隠れた時点で効き目は半分になります。1食の量が多い子は、突起が見える量まで減らして回数を増やすか、もう一回り深い形を選ぶことになります。
ふたつめは突起が浅いことです。 同じ「早食い防止」でも、突起の高さは商品によってまるで違います。
1.8キロのチワワには肉球の突起の周りに入ったフードを難なく食べられてしまう隙間なので、早食いの防止とまではいかないようです。
体が小さい子ほど口も小さいので、大きい子には効く突起の間隔がすかすかに感じられます。逆に、深い形へ買い替えて変わったという声もありました。
以前も別の突起がある早食い防止食器を使っていたことがありますが、余裕でたべれてしまう形状でした。こちらの形は食べにくそうで良いです。
浅い形で効かなかった子は、より深い形に乗り換えると変わります。逆はできません(深くて食べられなかった子を浅くするのは可能です)ので、迷ったら浅いほうから試すのが失敗の少ない順番です。
みっつめは皿が動くことです。 2,397件のうち218件が、滑る・滑り止めが取れたと書いていました。突起で食べにくくしているのに、皿ごと追いかけて食べられるなら意味がありません。
ズレにくいと書いてあったのですが、めちゃくちゃ滑ります。ケージの中の床に置くと犬が口を入れるたびに奥へ滑ってしまい、お皿を押さえていないと食べ切ることができませんでした。
厄介なのは、陶器でも底の滑り止めシールは取れることです。陶器製の133件でも25件が滑り止めに触れていて、「5回ほどの使用で全てなくなった」という声もありました。ただし陶器は本体が600g前後あるので、シールが取れても重さで止まります。うちのパフィが使っているダイソーの皿も滑り止めが取れて以来ずっと追いかけっこ状態なので、この地味なストレスはよく分かります。
早食いと胃捻転の関係は、17件の研究でも結論が割れています

早食いで心配されるのは「喉に詰まる」「食後に吐き戻す」「お腹が張る」の3つです。噛まずに飲み込んだフードが喉に引っかかってむせたり、一緒に飲み込んだ空気でゲポッと戻したりします。ここは食器で時間を延ばすと直接ラクになる部分で、2,397件のうち155件が吐き戻しやむせが減ったと書いていました。
もうひとつ、よく引き合いに出されるのが胃拡張・胃捻転(いねんてん)です。大量のフードと空気で胃が急に膨らんでねじれる状態で、胸の深い大型犬に多く、命に関わります。「早食い防止食器で胃捻転を防ぐ」という説明を、商品ページでもよく見かけます。
ただ、ここは正直に書いておきます。早く食べる犬は胃捻転を起こしやすいのかを17件の研究で検討した要約によると、結果は研究によってばらばらでした。関係がないとする研究もあれば、早食いがリスクを高めるとする研究もあり、全体としては「早食いが胃捻転のリスクを確実に高めるとは言えない」という結論になっています。サンプルの少なさや、食べる速さの測り方が研究ごとに違うことが理由です。
一方で、ゆっくり食べたせいでリスクが上がったという研究は1件もありません。だから早食い防止食器は「これで胃捻転を防げる」ではなく、「やって損はないほうに倒す道具」と考えるのが正確です。うちのパフィは食後にソファで寝るタイプなので心配は少ないほうですが、食べてすぐ走り回る子は、食器とは別に食後の運動を少し控える手も併せて使ってください。
そして、すでに吐き戻しが続いている・ぐったりする・お腹がパンパンに張っているといったサインがあるときは、食器を替える前に動物病院です。食器は予防の工夫であって、起きている不調を治すものではありません。判断に迷うときは犬の下痢や嘔吐で受診する目安にまとめてあります。
形状は凹凸型、芝生型、ボール型の3つで、マズルの長さで選びます
早食い防止食器は、形で大きく3つに分かれます。選ぶ基準は愛犬のマズル(口先)の長さです。マズルが短い子に深い突起を選ぶと、フードを取り出せずに食べるのをやめてしまいます。
| 形状 | どんな食器か | 向いている犬 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 凹凸型(迷路型) | 底に山や壁状の突起が並ぶ定番 | 中〜大型犬、しっかり食べる子 | 突起が高いと小型犬・短頭種は食べづらい |
| 芝生型(マット型) | 芝生状の細かい突起を鼻先で探す | マズルが短い小型犬、遊び食べさせたい子 | 溝が細かく洗いにくい。半生・ウェットは詰まる |
| ボール型(凸円型) | お椀の中央が盛り上がった形 | マズルが長め、食べこぼしを防ぎたい子 | 突起がゆるく、超・早食いの子には効きが穏やか |
深さの向き不向きは、レビューにもはっきり出ています。パグ4kgと7kgの飼い主さんは、丸呑みで15〜30秒だったのが陶器の花びら型で1分30秒以上になったと書いていました。同じ短頭種でも、フレンチブルドッグに深い迷路型を使った人は「全然食べれなかった」と書いています。短頭種だからこの形、と一括りにはできません。同じ犬種でも顔の作りに幅があるので、浅いほうから試すのが安全です。
ひとつ補足しておくと、猫と犬では結果が変わります。肉球型の食器284件を読むと、★3以下の31件のうち17件が猫の飼い主でした。全体では猫の飼い主は2割なのに、低評価では半分を超えています。犬では通る深さが、舌の短い猫では届かないためです。レビューの星を見るときは、自分と同じ動物・同じ体格の子の声だけを拾ってください。
素材はプラが軽くて動き、陶器は600gあって動きません

素材はプラスチック・陶器・ステンレス・シリコンの4つです。値段と手軽さならプラスチック、安定感と衛生なら陶器かステンレスという住み分けになります。
| 素材 | いいところ | 弱いところ |
|---|---|---|
| プラスチック | 軽くて安い、割れない、種類が豊富 | 軽くて動く、傷に汚れが溜まりやすい |
| 陶器 | 重くて動かない、傷に強く汚れが落ちる | 落とすと割れる、やや高い |
| ステンレス | 洗いやすく丈夫、匂いが移りにくい | 軽い、突起の造形が少なめ |
| シリコン | 滑りにくい、折りたためる商品もある | やわらかく噛みちぎるリスク、匂い移り |
陶器の「重い」は、レビュー133件のうち25件が触れていました。実測を書いてくれた人によると600g以上あります。動かないという長所の裏返しで、毎日2回洗う人にはこういう感想になります。
今まではプラスチック容器使用で、今回あえて陶器に変更のため購入しましたが、想像以上の重さで驚きました。腱鞘炎の手首には、毎食食器を洗うのがしんどい
プラスチックの軽さも同じ構図です。1,000円前後の商品は190gから265g程度で、持ち運びと洗い物はラクですが、食べながら押す子だと動きます。かじり癖のある子は、底の滑り止めゴムを外して飲み込む危険があるので、その場合は重さで止める陶器を選んでください。
素材で衛生に差が出るのかは、別の記事で調べ直しました。食器の素材で衛生が変わるのかのほうに、研究2本の数字と、うちがステンレスをやめた理由を書いています。
小型犬は直径14cm前後、かじる子は陶器で選ぶと外しません

ここからは実際の商品です。うちのパフィは偏食でこのジャンルを使えない側なので、レビューを全件読んで分かったことと、公開されている実寸で比べます。
| 商品 | 形状 | 素材 | サイズ | 価格 | ショップ |
|---|---|---|---|---|---|
| 迷路型 早食い防止フードボウル | 迷路型 | プラスチック | S/M/L | 800円 | |
| MILASIC 早食い防止フードボウル ER-FDPT | 凹凸型 | プラスチック | 約20cm四方 | 1,000円 | |
| 肉球型 早食い防止フードボウル Sサイズ | 肉球型 | プラスチック | 直径14cm×高さ4cm | 1,280円 | |
| MILASIC ノーズワークフードボウル ER-HCPET | スライド式 | プラスチック | 265g | 1,480円 | |
| Petifam 陶器製早食い防止皿 ローズ | 花びら型 | 陶器 | 直径15cm×高さ4.2cm | 1,958円 | |
| リッチェル 高さがある早食い防止食器 SS/S | 凹凸+高さ | メラミン樹脂 | 直径14.7cm×高さ9.1cm | 2,020円 | |
| るりるり 早食い防止 ステンレス スローフードボウル 直径22cm | 骨型の凹凸 | ステンレス | 直径22cm | 2,180円 | |
| 山崎実業 ペットフードボウルスタンド 斜めハイタイプ ヌークス | 凹凸+高さ | 陶器とスチール | 高さ17.6cm | 3,850円〜 |
今の皿と同じ大きさで、突起だけ足したいなら
肉球型 早食い防止フードボウル Sサイズ

直径14cm・高さ4cm・190gのプラスチック製です。肉球の形に沿って深さのある突起が並んでいて、浅い凹凸で効かなかった子の乗り換え先になります。
この商品を選んだ理由は、284件のレビューのうち大きさに不満を書いていたのが2件しかなかったことです。同じ価格帯の凹凸型は外寸20cm四方が多く、そちらでは222件が大きすぎたと書いていました。14cmは普通のフードボウルとほぼ同じで、置き場所を変えずに入れ替えられます。
低評価31件のうち17件は猫の飼い主で、溝が深くて舌が届かないという内容でした。犬でも、マズルの極端に短い短頭種は同じことが起きます。肉球型の商品ページに、犬と猫で結果が割れる理由を書きました。
ただし190gは軽いので、皿をかじる子は底の滑り止めゴムを外して飲み込む危険があります。かじらない子なら、今夜のごはんから皿を1枚入れ替えるだけで、20秒だった食事が2分前後になります。
皿を押して動かす子には、重さのある陶器を選ぶ
Petifamの陶器製早食い防止皿(ローズ)

バラの花びらの形に溝が並んでいて、深さは約3cmあります。直径15cm・高さ4.2cmで、小型犬から中型犬向けのサイズです。電子レンジ・食洗機・熱湯に対応しているので、溝の洗いにくさを食洗機に逃がせます。
この記事で使った実測データの多くは、この商品の133件のレビューから拾いました。★3以下は7件だけで、中身は「大きかった」「重い」「10日でヒビが入った」に分かれます。深さがある分、浅い形で効かなかった子の乗り換え先として名前が挙がることが多い商品です。
Petifamの商品ページに、4色それぞれの価格とレビューの内訳を載せています。
軽い皿を鼻で押して追いかけながら食べる子だと、突起で遅くしても皿が逃げるので意味がありません。600gの重さがあれば、勢いよく食べても皿は同じ場所に留まります。今夜のごはんから、皿を押さえていなくていい食卓になります。
溝を洗うのが続かなかった人は、ステンレスに替える
るりるりのステンレス製スローフードボウル(直径22cm)

骨とハートの形の凹凸が入った304ステンレスのボウルです。直径22cmと大きめなので、中型犬以上か、1食の量が多い子に向きます。
このジャンルはプラスチックが大半で、ステンレスは選択肢が少ないのが実情です。プラスチックは細かい傷によだれのぬめりが入り込み、2,397件のうち132件が洗いにくさに触れていました。ステンレスは表面に傷が付きにくく、丸洗いで落ちます。
直径22cmは想像より大きいので、置き場所を先に測っておいてください。毎晩スポンジを溝に押し込む時間がなくなるだけで、早食い対策は続きます。
高さも一緒に変えたいなら、ボウルとスタンドが組みになったものを選ぶ
山崎実業のヌークス斜めハイタイプ

高さ17.6cmのスタンドに、斜めに傾いたボウルが載る形です。面白いのはダブルタイプの2つのうち、ごはん側だけが早食い防止仕様になっていること。水側は普通のボウルなので、突起の間を洗う手間が半分で済みます。早食い防止ボウルの容量は約180mLです。
寸法が全部公開されているのもこの商品の強みで、シングルは幅15×奥行15.5×高さ17.6cmで約950g、ダブルは幅29cmで約1.6kgです。買う前に置き場所を測れます。
高さ17.6cmは、体高40cm前後の中型犬に合う数字です。小型犬には高すぎるので、次の見出しで別の選び方を書きます。
ごはんも水も1か所にまとめたいけれど、突起付きの皿を2つ洗うのは嫌だという人に、これがいちばん噛み合います。
中型犬以上で小さい皿が効かなかったなら、面積の広いプラスチックにする
MILASIC 早食い防止フードボウル ER-FDPT

楽天の早食い防止食器でレビューがいちばん多い1点です。1,586件。価格は1,000円で、外寸は約20cm四方、内側の直径が16cmあります。
面積が広いので、同じ量のフードでも1粒ずつ離れて散らばります。直径11cmの皿で変わらなかった子が、これに替えて時間が延びたというレビューが複数ありました。1食の量が多い中型犬以上なら、このサイズがちょうど収まります。
引っかかるとしたら大きさです。1,586件のうち222件が大きすぎたと書いていて、原因はメーカーが寸法をどこにも公開していないことでした。MILASICの商品ページに、購入者が測った実寸と滑り止めの注意点をまとめています。
置き場所に20cm四方の余裕があるなら、1,000円で食べ終わりが数分延びます。小さい皿を買い直して失敗を繰り返すより、面積で解決するほうが早いです。
迷路型 早食い防止フードボウル

800円。今回比べたなかでいちばん安く、溝の深い迷路型です。9kgのミックス犬の飼い主は、30秒以内だった食事が初回で4分45秒になったと書いていました。
サイズはS・M・Lの3つですが、Sでも一般的なM〜L相当の大きさです。394件のうち52件が大きすぎたと書いていて、★3以下56件にかぎると半分がこの話でした。さらにSサイズだけ中央の突起が無いという指摘が4件あります。中型犬以上で選ぶなら、この癖はむしろ問題になりません。
滑り止めは自分で貼るシール式で、数回で全部取れたという報告もあります。フローリングに直置きせず、マットの上で使ってください。迷路型の商品ページに、サイズごとの注意点と★3以下56件の中身を書きました。
合わなかったとしても800円です。早食いでむせる日が続いていて、まず1枚試したいだけなら、ここから始めるのが理にかなっています。
突起では足りない子は、スライド式で難しさを一段上げる
MILASIC ノーズワークフードボウル ER-HCPET

突起の隙間を探すのではなく、蓋をスライドさせて中のフードを出す形です。にくきゅう・まる・ほし・はなの4形状から選べて、265g、裏面に滑り止めが付いています。
凹凸の皿を「余裕で食べられてしまう」子や、食事の時間をもっと延ばしたい子に向きます。楽天のレビューは537件で、難易度と滑り止めの話が中心です。遊びの要素が強いぶん、警戒心の強い子はいきなりだと近寄らないことがあるので、最初は蓋を開けた状態から始めてください。
知育玩具を10点まとめて比べた記事に、同じ系統の商品を並べています。
凹凸の皿ではもう物足りなくなった子に、食事の時間をもう一段延ばす手が残っています。1,480円で、今の皿を捨てずに試せます。
買う前に見るのは、形、素材、高さ、洗いやすさの4つです
星の数で選ぶと外します。順番に見てください。
- 形が愛犬の顔に合うか — マズルが短い子に深い凹凸を選ばない。迷ったら浅いほうから試す
- 素材が動かず衛生的か — 軽いと食事中に動く。重さのある陶器か、確実な滑り止めつきを選ぶ
- 高さに無理がないか — 床置きで前かがみになりすぎていないか。ここは次の見出しで詳しく書きます
- 毎日洗い続けられるか — 凹凸が複雑なほど溝は洗いにくい。指やスポンジが届くか、食洗機に入るか
見落とされやすいのは4番です。突起の根元や溝にフードのカスが残り、ぬめりの元になります。半生タイプやウェット、トッピングを混ぜる子はとくに詰まります。うちのパフィは半生フードにおやつを隠して出す方式なので、凹凸食器を使ったら洗い物が地獄になるのが目に見えています。
かっこよさや効果より先に、「これを毎日、朝と晩に洗えるか」を一度だけ想像してみてください。2,397件のうち132件が洗いにくさに触れていて、そのうちの何人かは使うのをやめています。
偏食でだらだら食べる子には、早食い防止食器は逆効果になります
正直に書くと、合わない犬もいます。うちのパフィがまさにそれで、早食いではなく偏食のだらだら食べです。朝あげたフードをお昼まで放置したり、夜のごはんを深夜に一気食いしたり。カリカリは食べてくれず、半生フードにおやつを少しかけてやっと食べる子です。こういう食に興味の薄い子に凹凸食器で食べにくくしたら、もっと食べなくなります。
合わないのは次のような子です。
- 偏食・少食の子 — 食べにくくすると食事自体をやめてしまう
- マズルが極端に短い子 — 突起の隙間からフードを取り出せずストレスになる
- 神経質・慎重な子 — 見慣れない形の食器を警戒して近寄らない
3つ目は、うちも経験しました。留守番用にコング ワブラーという転がすとフードが出るおもちゃを買ったとき、パフィは起き上がりこぼしの動きが怖かったらしく、匂いを嗅ぐだけで一切触りませんでした。数回試して諦めましたが、あのとき学んだのは「いきなり難しい形を出すと、慎重な子は食事ごと拒否する」ということです。
レビューにも同じ景色があります。
生後数ヶ月のゴールデンレトリバーが使いましたが、仕切りが多く食べにくそうでむしろストレスがかかりそうなので使わなくなりました。その後、後住犬で4ヶ月のコーギーを迎え使わせてみましたが同じ理由で結局食べるのを途中でやめてしまったので使うのを辞めました。
2,397件のうち85件が、食べにくくて食べなくなったと書いています。割合にすると3.5%。多くはありませんが、ゼロでもありません。愛犬が食い意地の張った子なのか、食に淡泊な子なのかで、そもそも食器が要るかどうかが変わります。フードそのものが合っていない可能性があるなら、先に偏食の子のフード選びを読んでみてください。
食器のほかに、量を分ける方法と遊ばせる方法があります

早食いをゆるめる手は食器だけではありません。3つあります。
- 食器で減速する — 凹凸で物理的に食べにくくする。食い意地の張った健康な子に向く
- 量を分けてふやかす — 1回量を減らして回数を増やす、ぬるま湯でふやかしてかさを増やす
- 遊びながら食べさせる — 転がすとフードが出るボールやマットで、探しながら食べさせる
うちがやっているのは2と3です。パフィが子犬のころは1日3〜4回の小分けから始めて、成長に合わせて回数を減らしました。カリカリを食べにくそうにしていた時期はぬるま湯でふやかすと香りが立って鼻を近づけてくれたので、ふやかしは食べムラ対策としても効きました。お湯の温度には目安があるので、ドッグフードをふやかすお湯の温度も参考にしてください。回数と量の決め方は子犬のご飯の量と回数にまとめています。
2の「回数を分ける」は、留守中なら機械にも任せられます。1日4回以上に分けて出せる1日の食事を小分けにできる自動給餌器を、1回に出る量の刻みで比べました。
留守番のときは、転がすとおやつが少しずつ出るボール型のおもちゃに集中してくれます。フードを隠して探させるやり方はノーズワークマットの使い方に書きました。食器が合わなかった子でも、2と3なら無理なく取り入れられます。
回数を分けても体重がじわじわ増えてくる子は、フードそのものを替える手もあります。犬のダイエットフードの比較で、量を減らさずにカロリーを下げられるかを10点で比べました。
高さは小型犬と大型犬で答えが逆になります
食器の高さは、早食いと同じくらい選び方に迷うところです。そして小型犬と大型犬で、勧められる方向が逆になります。
小型犬の話から書きます。うちのパフィがフードを食べてくれなかった時期、動物病院で相談したら「お皿を少しだけ背の高いものに変えてみると良いかもしれませんね」と言われました。半信半疑でダイソーの背の高い皿に替えたら、その日から食べるようになったんです。フードも量も変えていません。床置きの低い皿に顔を突っ込む姿勢が、あの子には窮屈だったのだと思います。
早食い防止食器のレビューにも、自分で高さを足している人がいました。
あと、高さがないので、ガムテープ一巻きの上にお皿を載せて、高さをつけています。
一方、大型犬では話が変わります。大型・超大型犬1,637頭を追いかけた胃捻転の危険因子を調べた研究では、早食いと並んで高さのある食器が胃捻転のリスクを高める要因として挙がりました。大型犬で起きた胃捻転のおよそ20%、超大型犬ではおよそ52%が、高い食器に起因すると推定されています。
同じ「高さ」が、小型犬では食べやすさの工夫になり、大型犬ではリスク要因になる。ここを混ぜて読むと危険なので、うちの子の体格のほうの話だけを持ち帰ってください。胃捻転は胸の深い大型犬に多く、小型犬でそれが起きることは多くないとされています。
ただ、ここまで読んで気づいた方もいると思います。早食い防止の皿と食器台を両方買うと、合わせて4,000〜5,000円になります。それを1つで済ませる食器があります。
早食い防止と高さを1つで済ませたいなら
リッチェルの高さがある早食い防止食器

底が凹凸形状で、本体に高さがあります。SSが直径14.7cm・高さ9.1cm、Sが直径16.8cm・高さ10.1cm。超小型犬用と小型犬用の2サイズで、2,020円です。
この記事で数えてきた不満は、買う前に仕様を読めば避けられるものばかりでした。大きすぎた279件は寸法が公開されていないから、滑り止めが取れた218件は貼るシール式だから、洗いにくい132件は手洗い前提だからです。この食器は直径も水容量も材質も全部公開されていて、脚はシリコーンゴムの一体成型、食器洗い乾燥機が使えます。耐熱120℃。
サイズ選びはフードの量で決まります。満杯の目安がSSで約48g、Sで約66gなので、1食がこれを超えるなら大きいほうです。突起が隠れる量まで盛ると、早食い防止の働きが無くなります。リッチェルの商品ページにSSとSの全項目を並べました。
正直に書くと、2025年7月に出たばかりで楽天のレビューは1件しかありません。実際に何分延びるかの数字はまだ出ていません。それでも、食器台を別に買う手間と出費が消えて、滑り止めを毎回貼り直さなくてよくなるのは、仕様の時点で確定しています。
今の皿をそのまま活かしたいなら、傾斜のついたボウルか、皿を載せられる食器台です。kamiina 傾斜フードボウルは楽天1,306件で評価4.75、ぺったんPET 傾斜のある食器台はSとLで高さを選べます。木製スタンドに陶器ボウルが組みになったPET FUN フードボウル 食器台なら、陶器の重さで皿が動く問題も一緒に片付きます。
食後の吐き戻しが続いているなら、皿の凹凸だけでなく高さも一緒に変えたほうが早いです。陶器の重みがあるので、食べながら押しても動きません。
高さの決め方そのものは小型犬のフードボウルの選び方に体高からの逆算を書いています。
迷ったらこの順で選ぶ
早食い防止食器は、食べ終わりを2〜3分に延ばす道具です。胃捻転を確実に防ぐ道具ではありませんが、ゆっくり食べて悪くなった報告は無いので、心配な子に使う理由はあります。
選ぶ順番はこうです。まず愛犬が本当に早食いか、それとも食い意地の張った健康な子かを見極める。早食いで心配なら、顔に合う形、動かない素材、無理のない高さ、毎日洗える構造の4つで選ぶ。合わない偏食・慎重な子には、量の小分けやふやかし、知育トイという別の道があります。
1枚目に迷ったら、重さで皿が動かないPetifam 陶器製早食い防止皿です。深さ3cmは浅い形で効かなかった子の乗り換え先にもなります。溝を毎日洗うのが続かないと分かっているなら、るりるりのステンレスにして洗い物のほうを軽くしてください。
そして買ったあと、2週間で少し速くなっても慌てないこと。それは犬が慣れただけで、普通の皿に戻せばまた10秒に戻ります。うちのパフィは偏食のほうの子だったので、結局たどり着いたのは背の高い皿と少量の小分けでした。愛犬の食べ方をよく見て、必要な子には食器を、そうでない子には別の工夫を選んでください。






