「歯ブラシを口に近づけると、顔をそむけて逃げてしまう」「口を触ろうとすると噛んでくる」。犬の歯磨きで、こんなふうに困っている方は多いと思います。うちのポメプー・パフィ(2歳・メス)は、今はほぼ毎日、寝る前に3分ほどの歯磨きをおとなしくさせてくれます。でもそれは、性格がおっとりしているからではありません。子犬のころから毎日、口の中を触られることに少しずつ慣れさせてきたからなんです。

犬が歯磨きを嫌がる一番の理由は、歯磨きそのものより「口を触られること」に慣れていないこと。だから、いきなり歯ブラシを使うのではなく、口に触れる練習から順番に進めるのが近道です。この記事では、パフィが歯磨きを嫌がらない子になるまでにやったこと、嫌がる子を無理させず慣らす4つのステップ、毎日続けるためのコツ、実際に使っているグッズまで、飼い主のリアルな体験をもとにまとめました。

犬が歯磨きを嫌がるのは「口を触られ慣れていない」から

犬が歯磨きを嫌がる主な原因は、歯ブラシが嫌なのではなく、口や口の中を触られること自体に慣れていないからです。とくに成犬になってから急に歯磨きを始めると、「知らないものが口に入ってくる」という警戒心が先に立ってしまいます。

パフィが歯磨きを嫌がらないのも、口の中を触る練習を子犬のうちから積み重ねてきた結果です。正直に言うと、うちは歯磨きで苦労した経験がありません。でもそれは運が良かったからではなく、後述する「口を触る練習」を毎日のルーティンにしていたからだと感じています。

犬が歯磨きを嫌がる理由は、だいたい次の3つに整理できます。

嫌がる理由よくある背景対応の方向性
口を触られ慣れていない口まわりに触れる習慣がない歯磨き前に「触る練習」から始める
過去に嫌な思いをした無理やり押さえつけて磨かれたいったんリセットし、ご褒美とセットにする
歯ブラシが怖い・痛い硬い毛や大きなヘッドが苦手シートや指サックなど刺激の少ないものに戻す

原因が「口を触られ慣れていない」ことにあるなら、遠回りに見えても口に触れる練習からやり直すのが結局は一番の近道です。子犬期の噛み癖と口まわりの扱いについては犬の甘噛みはいつまで続くかの記事でも触れているので、あわせて読んでみてください。

そもそも犬に歯磨きは必要?3歳の8割が歯周病と言われる理由

そもそも犬に歯磨きは必要?3歳の8割が歯周病と言われる理由

犬の歯磨きは、面倒でも続ける価値のあるケアです。一般に「3歳以上の犬の約8割が、歯周病または歯肉炎のサインを持っている」とも言われていて、多くの動物病院のコラムでも毎日の歯磨きがすすめられています。歯石は一度つくと歯磨きだけでは落とせず、動物病院での処置が必要になることもあります。

とはいえ、あまり深刻に構えなくても大丈夫です。パフィの場合、毎日のケアを続けているおかげか、今のところ口臭も歯石も気になったことがありません。動物病院やトリミングサロンでも、口の中について指摘を受けたことは一度もないんです。これは毎日3分の積み重ねの成果かなと思っています。

大事なのは「完璧に磨くこと」より「毎日ちょっとでも触ること」。歯磨きは歯を白くするためではなく、歯石がつきにくい状態を保つための習慣、というくらいの気持ちで始めるのがちょうどいいと思います。

嫌がる犬を慣らす4ステップ(触る→めくる→拭く→磨く)

嫌がる犬に歯磨きを慣れさせるコツは、いきなり歯ブラシを使わず、「口を触る」ことから4段階で進めることです。パフィも、子犬のころは口の中をウェットティッシュで拭くところからスタートしました。各ステップとも、うまくできたらすぐにご褒美をあげて「口を触られるといいことがある」と覚えてもらうのがポイントです。

  1. 口のまわりに触る:リラックスしているときに、口の横やマズルをそっと触ります。嫌がらずに触らせてくれたら、すぐにご褒美。数日かけて触れる時間を少しずつ伸ばします。
  2. 唇をめくって歯を見せてもらう:口を閉じたままでいいので、唇をめくって前歯や歯ぐきに触れます。奥歯まで一気にいかず、触りやすい前歯まわりから慣らします。
  3. シートやガーゼで拭く:口の中を触らせてくれるようになったら、歯磨きシートや湿らせたガーゼで前歯をこすります。指の感触が伝わるぶん、歯ブラシより抵抗が少ないんです。うちはこの「拭く」段階を子犬期にしっかりやりました。
  4. 歯ブラシ・指サックブラシに進む:シートに慣れたら、いよいよブラシです。パフィは生後半年ごろから、それまでの拭き取りに加えてブラシも併用するようにしました。毎日口を触るのが当たり前になっていたので、ブラシへの切り替えもすんなりでした。

焦って先のステップに進むと、それまでの慣れが台無しになることもあります。1つのステップに1週間かかってもいい、くらいの気持ちで進めてあげてください。子犬の慣らし全般については子犬の社会化の記事も参考になります。

パフィが毎日続けられている「3つのコツ」

歯磨きは、正しいやり方より「毎日やめずに続けられる仕組み」のほうが大事だと感じています。パフィが嫌がらず続けられているのには、我が家なりの3つのコツがあります。名づけて「毎日つづく歯磨きの3原則」です。

1つめは、時間を固定してほかのケアとセットにすること。 パフィの歯磨きは、毎晩寝る前に目元ケアとブラッシングをまとめて行う流れの中でやっています。「寝る前はお手入れの時間」と決まっているので、犬も飼い主も迷いません。単独の予定にすると、忙しい日についサボってしまうんですよね。

2つめは、必ずご褒美とセットにすること。 パフィはチュールに混ぜれば薬も粉末も食べてくれる子なので、ご褒美との相性がとても良かったです。「歯磨き=嫌なこと」ではなく「歯磨き=いいことがある時間」にしておくと、次の日も逃げなくなります。

3つめは、一度に全部の歯を完璧に磨こうとしないこと。 うちの歯磨きは1回だいたい3分です。全部の歯をピカピカにしようとすると、犬も飽きるし飼い主も続きません。今日は前歯中心、明日は奥歯、くらいの気楽さで、毎日触ることを優先しています。

この3つは、以前コングのおもちゃをパフィが怖がって使えなかったときの反省ともつながっています。あのときは「先に簡単な成功体験を作るべきだった」と気づいたのですが、歯磨きも同じで、小さな成功を毎日積み重ねるのが結局いちばん続くんです。

うちが実際に使っている歯磨きグッズ

パフィの歯磨きは、指サックブラシと歯磨きシートを中心に、特別高価なものは使っていません。ペットショップや100均で買えるような、ありきたりなもので毎日回しています。仕上げに歯磨きシートで拭き、遊びの延長で鹿のツノをかじらせる、というのが我が家の定番の流れです。

いま使っている指サックタイプのブラシは、シリコン製で指に装着して磨けるものです。歯ブラシが苦手な子でも、飼い主の指の動きがそのまま伝わるので加減しやすく、はじめの1本におすすめです。

鹿のツノは、北海道産のものを歯磨きガム代わりに愛用しています。噛むことで歯の表面の汚れが落ちやすく、パフィのお気に入りのおもちゃにもなっています。ただし硬いので、噛む力の強い子や歯が弱い子は、獣医さんに相談してから使うと安心です。

歯磨きグッズは毎日使うものなので、まずは指サックやシートなど手ごろなものから試して、続きそうなら買い足していくのがおすすめです。お手入れの時間をもっと楽しくしたい方は、トリミングの毛玉対策犬のシャンプーの頻度の記事もあわせてどうぞ。

どうしても歯ブラシが無理なときの代替ケア

どうしても歯ブラシが無理なときの代替ケア

歯ブラシがどうしても無理な子でも、口の中を清潔に保つ方法はいくつもあります。歯磨きシート、デンタルガム、鹿のツノ、フードに混ぜるパウダータイプなど、犬の性格や慣れ具合に合わせて選べます。「歯ブラシができない=何もできない」ではないので、できることから始めれば大丈夫です。

代替ケア向いている子補足
歯磨きシート・ガーゼ歯ブラシの毛が苦手な子指で拭くので加減しやすい
デンタルガム・鹿のツノ噛むのが好きな子硬さと誤飲に注意、遊びの延長で
フードに混ぜるパウダー口を触られるのが苦手な子触らずケアできるのが利点

パフィはチュールに混ぜれば粉末も食べてくれるので、フードやチュールに混ぜて使うデンタルパウダーも気になっています。乳酸菌などが配合された朝用のパウダー(35グラムで6,292円ほど・楽天レビュー900件超)を、「気になる前のケア」として動物病院に相談したうえで試してみようかと検討中です。

ただし、ガムやパウダーはあくまで歯磨きの補助です。歯石がすでについている、口が臭う、歯ぐきが赤く腫れているといったサインがあるときは、自己判断せず動物病院で診てもらってください。歯周病が進むと、治療費も体への負担も大きくなります。医療費が心配な方はペット保険は必要かの記事も参考にしてみてください。

歯磨きでやってはいけないNGな進め方

歯磨きで一番やってはいけないのは、嫌がる犬を押さえつけて無理やり磨くことです。無理強いすると「歯磨き=怖いこと」と学習してしまい、かえって口を触らせてくれなくなります。パフィが子どもに噛みついたときの対処でも実感したのですが、犬に何かを覚えさせるときは、無理に力で従わせるより、嫌がることをしない工夫のほうが効きます。

やりがちなNGを、いくつか挙げておきます。

  • 体を押さえつけて磨く:抵抗が強くなり、噛みつきにつながることもあります
  • 奥歯からいきなり磨く:敏感な奥歯は最後。触りやすい前歯から慣らします
  • できなかった日に叱る:歯磨きが嫌な記憶になってしまいます
  • 人間用の歯磨き粉を使う:犬が飲み込むと体に良くないので、必ず犬用を使います

うまくいかない日があっても、叱らずにその日はやめてしまって大丈夫です。「口を触れただけで100点」くらいのゆるさで、明日また少し進めればいいんです。

歯磨きを「続く習慣」にするために

犬が歯磨きを嫌がるのは、性格の問題ではなく、口を触られ慣れていないことがほとんどです。だからこそ、歯ブラシの前に「口に触る練習」から順番に進めれば、嫌がる子でも少しずつ慣れていけます。

パフィが今、寝る前の3分をおとなしくさせてくれるのは、子犬のころから毎日、口の中を拭く練習を積み重ねてきたからです。もし今まさに歯磨きで格闘している方は、いったん歯ブラシを置いて、口のまわりを触ってご褒美をあげるところからやり直してみてください。遠回りに見えて、それが一番の近道です。

これから始める方は、まずは刺激の少ない指サックブラシや歯磨きシートから。1本目に迷ったら、うちでも使っている指サックタイプが手ごろで扱いやすいと思います。