グルテンフリーとグレインフリーの違いは、袋の表を見ているだけだとわかりません。うちのパフィ(ポメプー・2歳・5.12kg)のフードを選ぶとき、僕もこの2つを「なんとなく体に良さそうなほう」くらいに考えていました。
調べてみたら、違いは抜いている範囲だけ。しかもドッグフードの「グルテンフリー」には、国が決めた基準がありません。人間の食品には20ppm以下という国際基準があるのに、ペットフードの表示ルールにはこの言葉自体が出てこないんですよね。ここでは2つの違いを整理したうえで、わんらいふナビに登録している商品を数えてわかったことと、袋の裏で何を見れば判断できるかを書きます。
グルテンフリーとグレインフリーの違いは、抜いている範囲です

グレインフリーとは、小麦・とうもろこし・米・大麦などの穀物をまるごと使わないフードのことです。グルテンフリーは、麦類に含まれるグルテンというたんぱく質を避けたフードを指します。グレインフリーのほうが範囲が広く、グルテンフリーはその一部という関係になります。だからグレインフリーのフードは自動的にグルテンフリーですが、逆は成り立ちません。
言葉で書くと混乱するので、表にするとこうなります。
| 分類 | 抜くもの | 残ってもいいもの | 想定している犬 |
|---|---|---|---|
| グレインフリー | 穀物すべて(小麦・大麦・とうもろこし・米・オーツ麦など) | いも類・豆類 | 穀物を避ける理由がある犬 |
| グルテンフリー | 麦類のグルテン(小麦・ライ麦・大麦・えん麦) | 米・とうもろこし・いも類・豆類 | 小麦などのグルテンを避けたい犬 |
| どちらでもない | 特になし | 穀物すべて | 特に制限のない犬 |
うちのパフィが長く食べていたプッチーヌの半生タイプは、小麦も大豆も入っていました。つまり3つ目の「どちらでもない」です。偏食でカリカリを食べない子なので、そもそも選択肢がそこまで多くなかったんですよね。
ここで先にひとつ。グレインフリーもグルテンフリーも、健康な犬に必要なものではありません。 穀物を避ける理由がある犬にとっては選択肢になる、という位置づけです。この前提を外すと、次のセクションから先の話が全部おかしくなります。
ドッグフードの「グルテンフリー」には、国が決めた基準がありません
人間の食品の「グルテンフリー」には数字の裏付けがあります。国際的な食品規格のコーデックス(CODEX STAN 118-1979)では、グルテン含有量が20mg/kg(20ppm)以下のものだけがグルテンフリーを名乗れます。日本の米粉はさらに厳しくて、農林水産省の「米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン」で1ppm以下のものを「ノングルテン」と表示でき、令和2年10月には製造工程管理JAS(JAS 0014)も制定されました。
ところがドッグフードには、これに相当するものがありません。ペットフードの表示は「ペットフードの表示に関する公正競争規約」(令和4年9月28日・公正取引委員会告示第8号)で決まっていて、義務づけられているのは次の9項目です。
- ペットフードの名称と犬用・猫用の別
- 目的(総合栄養食・間食・療法食など)
- 内容量
- 与え方
- 賞味期限
- 成分(たんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分)
- 原材料名
- 原産国名
- 事業者の氏名または名称および住所
この中に「グレインフリー」も「グルテンフリー」もありません。定義も、含有量の上限も、検査方法も決まっていない。つまり袋に書かれている「グルテンフリー」は、メーカーが自社の判断で名乗っているものです。
| 定義を決めている主体 | 数値基準 | 検査方法の指定 | |
|---|---|---|---|
| 人間の食品 | コーデックス委員会 | 20ppm以下 | ELISA R5 Mendez法 |
| 米粉(日本) | 農林水産省ガイドライン | 1ppm以下(ノングルテン) | あり(JAS 0014) |
| ドッグフード | なし | なし | なし |
嘘が書かれているという話ではありません。景品表示法があるので、事実と違う表示をすれば問題になります。ただ、「グルテンフリー」という言葉が何を指しているかは、メーカーごとに違う可能性があるということです。だから原材料名を見るしかない。
日本のグルテンフリーは、ほぼ小麦グルテン不使用のこと

日本のドッグフードで「グルテンフリー」と書かれている商品を実際に見ていくと、その多くが「小麦グルテン不使用」の意味で使っています。玄米や大麦は入ったまま、というパターンですね。コーデックスの定義では小麦・ライ麦・大麦・えん麦がグルテンを含む穀類なので、人間の食品の基準をそのまま当てはめると、大麦入りは「グルテンフリー」に当たりません。
言い方を変えると、袋の「グルテンフリー」だけを見て「麦は一切入っていない」と思い込むと、判断を誤ります。実例を3つ挙げます。どれもメーカー自身が原材料をきちんと書いているので、確認すればすぐわかります。
このこのごはん

原材料は鶏肉(ささみ・胸肉・レバー)、玄米、大麦、ビール酵母、鰹節、米油と続きます。公式は「小麦グルテンフリー(玄米・大麦使用)」と書いていて、グレインフリーではないことを自分から明示しているタイプです。この書き方なら誤解しようがないですよね。
このこのごはんの商品ページに原材料の全量と成分値を載せています。
うまか(UMAKA)ドッグフード

九州産の華味鳥を100%使った国産フードです。こちらも「小麦グルテン不使用」と「玄米・大麦を使用(グレインフリーではない)」の両方を書いています。穀物そのものを避けたい場合は選択肢から外れますが、小麦だけ気にしている場合は候補に入る、という整理になります。
うまか(UMAKA)ドッグフードの商品ページで原材料と価格をまとめています。
シェフドッグ

石川県の自社工場で作られている国産フードです。原材料は生肉が第一で、そのあとに大麦全粒粉・魚粉・玄米粉と続きます。大麦はコーデックスの定義でグルテンを含む穀類に当たります。
このフードで気づいたことがあります。製造元のレガールファクトリーは自社の公式ショップ(シアンシアン)でグルテンという言葉を一度も使っていないのに、AmazonとYahoo!ショッピングの商品名には「グルテンフリー」が入っています。同じ商品でも、売る場所によって名乗りが変わるわけです。袋の裏を見るしかない理由がここにあります。
シェフドッグの商品ページに7種類のラインナップと成分を載せています。
このこのごはんとうまかは、メーカー自身が「小麦グルテン」と限定して書いています。これは誠実な書き方だと思います。逆にシェフドッグのように、販売チャネルによって表現が変わる商品もある。だから「グルテンフリー」の4文字だけで判断すると取りこぼします。
登録している商品を数えたら、グルテンフリー表示は0点でした
わんらいふナビが公開している商品ページは291点あります。この中で特徴に「グレインフリー」を設定しているのは41点、「グルテンフリー」を設定しているのは0点でした。
| 表示 | 該当点数 | 内訳 |
|---|---|---|
| グレインフリー | 41点 | ドライフード30・おやつ/トッピング6・ウェットフード5 |
| グルテンフリー | 0点 | — |
0点なのは、フードを登録するときに「グルテンフリー」を売り文句として前面に出している商品がほとんどなかったからです。前のセクションで挙げた3つのように、本文で「小麦グルテン不使用」と説明している商品はあります。でも袋の顔として使われるのは41対0でグレインフリーのほうでした。
日本の市場ではグレインフリーが売り文句として定着していて、グルテンフリーは補足の説明にとどまっている、というのが数えてみた実感です。人間の食品ではグルテンフリーのほうが有名な言葉なので、逆転しているのがちょっと面白いところでした。
検索で「グルテンフリーのドッグフード」を探している人が、思ったより選択肢が出てこなくて戸惑うとしたら、理由はここにあります。商品がないのではなく、その言葉で売られていないだけです。
グレインフリーで抜いた穀物は、豆といもに置き換わっています

グレインフリーを「炭水化物が少ないフード」だと思っている人がいますが、これは違います。穀物を抜いた分の炭水化物は、さつまいも・じゃがいも・エンドウ豆・レンズ豆などに置き換わっているからです。総合栄養食として成立させるには、炭水化物源そのものは必要になります。
わんらいふナビに登録しているグレインフリーのドライフード30点を1点ずつ確認したところ、こうなりました。
| 炭水化物源 | 該当点数 | 30点に占める割合 |
|---|---|---|
| いも類(さつまいも・じゃがいも・タピオカ) | 29点 | 97% |
| 豆類(エンドウ豆・ひよこ豆・レンズ豆) | 24点 | 80% |
| いも類と豆類の両方 | 23点 | 77% |
| どちらも使っていない | 0点 | 0% |
30点中30点が、いも類か豆類のどちらかを使っていました。 グレインフリーは「穀物を使わない」だけであって、「炭水化物を減らす」ものではないんですね。ダイエット目的で選ぶなら、グレインフリーかどうかより、カロリーと脂質の数字を見たほうが早いです。
実際のグレインフリーフードを3つ挙げます。どれも肉や魚を主原料にして、炭水化物はいもや豆でまかなう作りです。
モグワンドッグフード

チキンとサーモンを合わせて50%以上配合したイギリス産のフードです。手作りレシピを再現したという設計で、グレインフリーの中では知名度が高いほうだと思います。
モグワンドッグフードの商品ページに成分と給与量を載せています。
カナガンドッグフード

放し飼いのチキンを50%以上使った高たんぱく設計で、たんぱく質は29%以上。小粒のドーナツ型なので小型犬でも食べやすい形です。高たんぱく・高カロリーなので、運動量が少ない子は量の調整が必要になります。ここはグレインフリー全般に言えることですね。
カナガンドッグフードの商品ページで原材料の配合比率を確認できます。
ペロリコドッグフードのアレカット

名前のとおり、アレルギーが気になる子を想定して原材料を絞ったフードです。動物性たんぱく源を限定しているタイプなので、除去食を試すときの候補になります。ただし何を除去すべきかは犬によって違うので、獣医さんに相談してから決めるのが安全です。
ペロリコドッグフード アレカットの商品ページに原材料と成分を載せています。
高たんぱくのグレインフリーで名前が挙がりやすいのがアカナとオリジンです。同じチャンピオンペットフーズ社の姉妹ブランドなので混同されがちですが、肉の量もたんぱく質も価格も別物でした。アカナとオリジンの違いを成分と価格で比べた記事に、2kgの実額と粒の大きさまで並べています。
穀物を抜いても、アレルギーの本命は残ります
「アレルギー対策でグレインフリーにする」という話をよく聞きますが、犬の食物アレルゲンの実際の内訳を見ると、順番が違います。ミュンヘン大学のMueller氏らが2016年に発表した論文(BMC Veterinary Research)では、食物有害反応を起こした犬297頭のアレルゲンをこう集計しています。
| 食材 | 頭数 | 割合 |
|---|---|---|
| 牛肉 | 102頭 | 34% |
| 乳製品 | 51頭 | 17% |
| 鶏肉 | 45頭 | 15% |
| 小麦 | 38頭 | 13% |
| 大豆 | 18頭 | 6% |
| ラム肉 | 14頭 | 5% |
| とうもろこし | 13頭 | 4% |
| 卵 | 11頭 | 4% |
| 豚肉 | 7頭 | 2% |
| 魚・米 | 各5頭 | 各2% |
上位3つはすべて動物性たんぱくです。小麦は4番目で13%、とうもろこしは4%、米にいたっては2%。穀物を全部抜いても、上位3つはそのまま残ります。
しかもグレインフリーのフードは、たいてい鶏肉か牛肉を主原料にしています。3位の鶏肉が15%なので、穀物を抜いて鶏に置き換えたら、かえって当たる確率の高い食材が増えることもありえるわけです。皮膚をかゆがる、下痢が続くといった症状の原因を探すなら、まず動物性たんぱく源から疑うほうが筋が通ります。
ただし、これは統計上の頻度の話です。うちの子が何に反応するかは、除去食試験でしか特定できません。パフィは今のところ穀物で体調を崩したことがないので、僕はグレインフリーにこだわっていないという立場です。
内訳の見方や記録のつけ方は犬の食物アレルギーのフードの選び方に詳しく書きました。
心臓病(DCM)との関係は、今どうなっているか
グレインフリーの話になると必ず出てくるのが、拡張型心筋症(DCM)との関連です。2018年にアメリカのFDA(食品医薬品局)が調査を始めて話題になりました。現在の結論から言うと、因果関係は証明されていません。
FDAは2014年1月1日から2022年11月1日までに1,382件のDCM報告を受け取りましたが、報告件数だけでは製品との因果関係を立証するには足りない、としています。そのうえで2022年12月23日、意味のある新しい科学的情報が出るまで定期的な更新を終了すると発表しました(米国獣医師会AVMAの報道による)。報告が集中したのも2018年から2020年、つまりFDAが調査を公表した時期の前後でした。
「グレインフリーは危ない」でも「完全に安全」でもなく、わかっていないというのが今の正確な状態です。心配なら獣医さんに相談したうえで判断する、というところに落ち着きます。
表の言葉でなく、原材料の1〜3番目と麦類を見る

どちらを選ぶか迷ったら、袋の表の言葉ではなく裏の原材料名を見ます。順番はこの3つです。
- 原材料の1〜3番目が何かを見る。ここに書かれているのが主原料です。鶏肉なのか、牛肉なのか、魚なのか。アレルギーを疑っているなら、いちばん先に確認すべきはここです
- 麦類が入っていないかを確認する。小麦・大麦・ライ麦・えん麦(オーツ麦)を探します。「グルテンフリー」と書いてあっても大麦が入っていることがあるので、言葉ではなく原材料名で見ます
- 穀物の代わりに何が入っているかを見る。さつまいも、じゃがいも、エンドウ豆、レンズ豆。グレインフリーならこのどれかが必ず入っています。豆類にアレルギーがある子もいるので、ここも読み飛ばさないほうがいいです
そのうえで、パフィのような偏食の子を飼っているなら、4つ目の条件が実は最優先になります。食べてくれるかどうかです。どんなに設計が良くても、口をつけない袋が棚に積まれるだけになります。
この記事で挙げた9点を分類するとこうなります。
| 商品名 | 分類 | 主なたんぱく源 | 使っている穀物 | 炭水化物源 | ショップ |
|---|---|---|---|---|---|
| モグワンドッグフード | グレインフリー | チキン・サーモン | なし | さつまいも・エンドウ豆 | |
| カナガンドッグフード | グレインフリー | チキン | なし | さつまいも・エンドウ豆 | |
| ペロリコドッグフード アレカット | グレインフリー | 限定たんぱく | なし | いも類・豆類 | |
| POCHI ザ・ドッグフード ワイルドサーモン | グレインフリー | サーモン | なし | いも類 | |
| ソルビダ グレインフリー チキン | グレインフリー | チキン | なし | いも類・豆類 | |
| HEKA グレインフリー ドッグフード | グレインフリー | 肉・魚 | なし | いも類・豆類 | |
| このこのごはん | 小麦グルテン不使用 | 鶏肉 | 玄米・大麦 | 玄米・大麦・さつまいも | |
| うまか(UMAKA)ドッグフード | 小麦グルテン不使用 | 華味鳥 | 玄米・大麦 | 玄米・大麦 | |
| シェフドッグ | 小麦・とうもろこし不使用 | 生肉 | 大麦・玄米・たかきび | 大麦・玄米・たかきび |
フードを変えるときは、いきなり全部入れ替えないことも大事です。切り替えの日数と量の配分はドッグフードの切り替え方法にまとめています。
うちのパフィが食べているのは、どちらでもないフードです
ここまで書いておいてなんですが、パフィが食べているのはグレインフリーでもグルテンフリーでもありません。長く食べていたプッチーヌの半生タイプには小麦も大豆も入っていました(2026年3月31日で終売になり、いま代替を探しています)。
理由は単純で、カリカリを食べてくれないからです。グレインフリーのフードはほとんどがドライなので、パフィの前に出しても匂いを嗅いで去っていきます。フード代は月1万円くらいかかっていますが、そのお金は「体にいいもの」ではなく「食べてくれるもの」に使っている、というのが正直なところ。
これは負け惜しみではなくて、順番の話だと思っています。穀物を避ける理由がある犬にはグレインフリーやグルテンフリーが役に立ちます。でも理由がない子にとっては、選ぶ基準の3番目か4番目くらい。それより先に、食べるか・体調が安定しているか・続けられる値段かが来ます。うちはずっとその1番目でつまずいていました。
もし今フード選びで迷っているなら、袋に書かれた4文字より、原材料の1行目を見てください。そこに答えの半分くらいは書いてあります。小型犬のフード全体の選び方は小型犬のドッグフードの選び方に、グレインフリーの選び方だけを深く知りたい場合はグレインフリードッグフードの選び方にまとめてあります。






