散歩のたびに腕がグイグイ引っ張られて、飼い主のほうが犬に連れて歩かれている。リードが常にピンと張っていて、楽しいはずの散歩がちょっとした筋トレになっている。そんなふうに「犬の引っ張り癖」で困っている方は多いと思います。

先に結論からお伝えすると、散歩の引っ張りは「散歩の主導権が犬のほうにある」状態で、力で勝とうとするほど悪化します。直すコツは、引っ張ったら進まない・ゆるんだら進む、というルールを犬に覚えてもらうことです。

正直に書くと、うちのポメプー(ポメラニアン×トイプードルのミックス犬)のパフィは、グイグイ引っ張るタイプではありません。どちらかというと「匂いを嗅ぎたくて立ち止まる・座り込む」のが悩みでした。ただ、調べたり試したりするうちに、引っ張りも立ち止まりも根っこは同じだと気づきました。この記事では、週3〜5回・1回20〜30分の散歩を2年続けてきた僕が、引っ張る原因の見分け方から「ゆるリード3ステップ」、やりがちな逆効果、ハーネスの選び方まで、うちの試行錯誤を本音でまとめます。

犬が散歩で引っ張る3つの原因と見分け方

犬が散歩で引っ張る原因は、大きく「前に進みたい興奮」「匂いや対象への好奇心」「不安や恐怖からの回避」の3つに分けられます。同じ「引っ張る」でも理由が違えば効く対処も変わるので、まずはうちの子がどれに近いかを見分けるのが出発点です。

我が家の場合、パフィは①の興奮タイプではありませんでした。当てはまるのは②の好奇心と、③の不安のほう。電柱や郵便ポスト、最近では点字ブロックの匂いまで延々と嗅いで座り込んでしまうのが②です。知らない人とすれ違うと耳が後ろにペタッと倒れて足が止まり、バイクや車の音で一瞬ピタッと固まるのが③ですね。同じ子でも場面によって理由が違うのが面白いところです。

原因タイプよく出るサイン効きやすい対処の方向
前に進みたい興奮リードが常にピンと張る、ぐいぐい先へ立ち止まる・進ませない、落ち着いてから進む
匂い・好奇心特定の場所で止まって嗅ぎ続ける嗅ぐ時間を区切って確保、合図で切り上げる
不安・恐怖耳が倒れる、足が止まる、固まる無理に引かない、距離をとって慣らす

かかりつけの獣医さんやトリミングサロンの先生に相談したときも、「行動の理由をひとくくりにしないこと」とよく言われました。引っ張るからダメ、ではなく「なぜ引っ張る(止まる)のか」を見てあげると、対処がぐっと選びやすくなります。

「引っ張る」と「立ち止まって動かない」は対処が違う

「引っ張る」と「立ち止まって動かない」は対処が違う

引っ張りと立ち止まりは、見た目こそ反対ですが、どちらも「散歩のペースを犬が握っている」という点では同じです。ただし方向が逆なので、対処もそのまま逆になります。引っ張りは「前に行きたい」気持ちを落ち着かせる方向、立ち止まりは「嗅ぎたい・怖い・疲れた」の理由をほどいてあげる方向です。

ここはうちが一番遠回りしたところでした。パフィが地面の匂いを嗅いで動かなくなったとき、最初は「早く行こうよ」とリードを引いていたんです。でも引けば引くほど踏ん張る。後でわかったのは、これは「歩きたくない」のではなく「もっと嗅ぎたい」だったということ。犬にとって匂い嗅ぎは情報収集で、立派な散歩の楽しみなんですよね。

引っ張る(前へ)立ち止まる(その場)
犬の気持ち早く進みたい、興奮嗅ぎたい・怖い・疲れた
やりがちな失敗引っ張り返す無理に引きずる
効く方向進ませない・落ち着かせる理由を解消する・嗅ぎを区切る

うちでは「ここでは30秒だけ嗅いでいいよ、はい行こう」と区切りをつけるようにしてから、座り込みが減りました。完全にゼロにはなりませんが、嗅ぎたい気持ちを否定せずに切り上げる練習をすると、散歩のテンポが整ってきます。立ち止まりが恐怖からくる場合は、原因の対象から少し距離をとって、慣らしていくのが基本です。このあたりは犬が物音に吠える対策で書いた、音への慣らし方とも考え方が共通しています。

引っ張り癖を直す基本「ゆるリード3ステップ」

引っ張り癖を直す基本は、「リードがゆるんでいるときだけ前に進める」と犬に覚えてもらうことです。引っ張ったら止まる、ゆるんだら進む。これを繰り返すと、犬は「ゆるめたほうが早く進める」と学んでいきます。ドッグトレーナーさんの解説でも定番のやり方で、うちで立ち止まり対策として試したときも効果を感じました。

我が家で続けている手順を「ゆるリード3ステップ」としてまとめます。

  1. 引っ張ったらその場で止まる。リードがピンと張ったら、飼い主は一歩も動きません。「引っ張っても進めない」を体で覚えてもらう段階です。ここで一緒に引っ張り合うと逆効果なので、ただ立ち止まって待ちます。
  2. 名前を呼んで注意を戻す。パフィの場合は「パフィ」と一声かけて、目が合ったりこちらを向いたら、その瞬間に「いい子」と褒めます。おやつを少し使うと、振り向きが早くなります。
  3. リードがゆるんだら進む。犬がこちらに気持ちを向けてリードがふっとゆるんだら、すかさず「よし、行こう」と歩き出します。ゆるめること自体がごほうび(また歩ける)になるのがポイントです。

最初からうまくはいきません。うちも立ち止まりからの切り替えで、止まって・呼んで・歩き出すを何度も繰り返しました。コツは1回の練習を5分以内くらいの短い時間にして、散歩のたびに少しずつやること。長くやると犬も飼い主も疲れて続かないんですよね。前に進みたい興奮が強い子には、ときどき進行方向をくるっと変える「Uターン」を混ぜると、「飼い主の動きを見ていないと置いていかれる」と気づいてもらいやすくなります。

やりがちで逆効果なNG対応3つ

やりがちで逆効果なNG対応3つ

引っ張り癖の対応でやってしまいがちなのに、実は逆効果になりやすいのが「引っ張り返す」「大声で叱る」「伸縮リードで自由にさせすぎる」の3つです。良かれと思ってやると、かえって引っ張りが強くなることがあります。

うちの失敗から正直にお話しすると、まず引っ張り返し。これはパフィが拾い食いをしそうなときに、とっさにリードをグッと引いて止めていたクセの延長でやってしまいました。犬には「引っ張られたら踏ん張る」という反射(専門的には拮抗反射と呼ばれます)があって、飼い主が引くほど犬も引きます。引き合いっこになると体重5kgのパフィでも意外と止まらないので、引くより「止まって待つ」ほうが結局ラクでした。

次に大声で叱る。これは別件ですが、物音に吠えるパフィをうるさいと叱ったら、かえって興奮させてしまった経験があります(犬が物音に吠える対策に詳しく書きました)。散歩でも、興奮している犬に強い声をかけると刺激が増えるだけのことが多いです。

最後に伸縮式(リール式)リードで自由にさせること。実は僕、両手が空いて便利そうだなとリール式に興味がありました。でも調べてみると、伸びるリードは「引っ張れば進める」を毎回教えてしまうので、引っ張り癖の練習中にはおすすめされていないんですよね。それを知って、今は肩掛けできるロープタイプの固定リードを使っています。練習が落ち着いてから、広い公園用に検討する予定です。

引っ張り防止グッズの選び方(ハーネス・リード比較)

引っ張り防止グッズはあくまで「補助」で、これさえ付ければ引っ張り癖がなくなる、という魔法の道具ではありません。とはいえ道具選びで散歩のしやすさはかなり変わるので、特徴を知って選ぶ価値はあります。引っ張り対策で使いやすいのは、胸の前にリードをつなぐ「フロント(前胸)リング式ハーネス」と、ほどよい長さの固定リードの組み合わせです。

うちは子犬のころ、首輪だと小さな体に負担がかかりそうで心配で、最初からハーネスを選びました。小型犬は気管が細く、首輪で強く引っ張ると気管に負担がかかることがあるので、これは結果的に良かったと思っています。ただ注意したいのは、背中にリングがある一般的なハーネスは、犬が引っ張りやすい構造でもあること。引っ張り対策を狙うなら、胸の前で引きをいなすフロントリング式が候補になります。

グッズ引っ張り対策の向き不向き注意点
首輪+固定リード行動でしつける前提なら可小型犬は気管への負担に注意
背中リング式ハーネス引っ張りは抑えにくい体への負担は軽いが引っ張り対策には弱い
フロント(前胸)リング式ハーネス引っ張りをいなしやすい短毛犬は脇の擦れに注意、装着の慣れが必要
ヘッドカラー(ハルティ等)強い引っ張りに効きやすい顔まわりを嫌がる子が多く、慣らしが必要
伸縮(リール式)リード引っ張り練習中は不向き「引けば進める」を教えてしまう

道具は犬の体格や性格との相性があるので、サイズ選びは体のサイズを測ってから選ぶのが安心です。うちはハーネス選びで実寸を測らず犬種と体重で選んできましたが、フィットを考えると測ったほうが確実だなと反省しています。気になるハーネスがあれば、口コミも参考にしながら選んでみてください。

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メーカー
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タイプ
お出かけ・散歩グッズ

小型犬・ポメプーの引っ張りと突進で見落とすこと

小型犬は力で押さえ込めてしまう分、引っ張り対策を「まあ大丈夫か」と後回しにしがちです。でも、飛びつきや突進、気管への負担は、小型犬だからこそ見落とせません。

うちで「小型犬でも侮れない」と実感したのが、帰宅時や散歩前の突進です。パフィは2歳・体重5kgですが、興奮して飛びかかってくる勢いはなかなかのもの。小学1年生の娘は、突進されて膝が崩れたことがあります。5kgの突進でも、相手や状況によっては危ないんですよね。散歩中でも、他のわんちゃんや知らない人に向かって急に動くと、リードを持つ手にぐっと負荷がかかります。

それと、知らない人に吠える・固まるといった反応は、子犬期の社会化が足りなかったことと関係していそうだと感じています。パフィはお迎えが冬の雪深い時期で、外で人や犬に会う機会をあまり作れませんでした。この反省は子犬の社会化はいつまで?に詳しくまとめています。引っ張りや立ち止まりの背景に「対人・対犬の不安」がある場合、引っ張り対策だけでなく、慣らしのほうもセットで考えるとうまくいきやすいです。

子犬のうちから引っ張り癖を作らせない育て方

子犬のうちから引っ張り癖を作らせない育て方

引っ張り癖は、できてしまってから直すより「作らせない」ほうがずっとラクです。子犬を迎えたら、いきなり外を歩かせるのではなく、家や庭でリードに慣らすところから始めるのがおすすめです。

うちはこれを地味にやりました。お迎えが生後約3ヶ月だったので、すぐには散歩に行けません。ワクチンが済むまでの2024年2月末から3月末まで、庭でリードをつける練習を続けました。最初の数日、パフィはハーネスを本気で嫌がって、コロコロ転がってリードを脱ごうとするんです。「これは大変なやつだ」と当時は焦りました。でも毎日少しずつ装着する時間を伸ばしていったら、3週間ほどで普通に歩けるようになって、3月末から本格的な散歩デビューができました。

このとき学んだのは、「散歩が下手な子」ではなく「リードの経験が足りないだけの子」という見方をすること。家の中から段階的に進めれば、リードがついている状態が当たり前になります。あわせて、子犬の時期に生活音や人に少しずつ慣らしておくと、散歩中に物音や人で固まる・興奮することも減らせます。北陸の冬のように外に出にくい時期でも、室内でリードに慣らす練習はできるので、散歩に行けない日を「何もできない日」にしないのがコツです。

それでも直らないときにプロを頼る目安

セルフでしばらく続けても改善しない、唸りや噛みつきを伴う、飼い主が転びそうで危ない。こうしたサインがあるなら、早めにドッグトレーナーや動物病院に相談するのが安心です。我流で長く続けるより、プロに一度見てもらうほうが近道になることもあります。

うちは北陸の田舎で、通いやすいしつけ教室が近くになく、パピークラスには通えませんでした(子犬のしつけ教室は必要?に経緯を書いています)。その代わり、散歩の悩みや食事のことは、かかりつけの動物病院と月1回通っているトリミングサロンでこまめに相談してきました。散歩の時間帯がバラバラで大丈夫かな、と不安だったときも、「小型犬ならそこまで厳密でなくても大丈夫」と言ってもらえて安心したことがあります。身近に相談できる場所を持っておくと、引っ張りに限らずいろんな悩みを抱え込まずにすみます。

散歩は引っ張り合いではなく、一緒に歩く時間にする

犬の引っ張り癖は、力で勝とうとするほどこじれます。直すコツは、引っ張ったら進まない・ゆるんだら進む、という「ゆるリード3ステップ」を散歩のたびに少しずつ積み重ねること。そして、引っ張りと立ち止まりは理由が違うので、うちの子がどのタイプかを見てあげることです。

うちのパフィは引っ張るより「匂いで止まる」子でしたが、根っこは同じ「散歩の主導権」の話でした。完璧にコントロールするより、嗅ぎたい気持ちも少し尊重しながら、一緒に気持ちよく歩ける時間にしていけたらいいなと思っています。今日からまずは、リードがゆるんだ瞬間に「いいね」と声をかけるところから始めてみてください。

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