犬のノーズワークマットは、布のひだの中におやつを隠して、鼻で探させる道具です。散歩に行けない日の運動になると言われていて、うちも雨と雪の多い北陸なので前から気になっていました。

ただ、値段は1,480円から3,980円まで開きます。効きめがはっきりしないまま3,480円を出すのは、正直けっこう勇気が要ります。そこでサイトで扱っている5点の低評価94件を全部読んで、あわせて嗅覚の遊びを調べた海外の研究にも当たってみました。

出てきたのは、思っていたのとだいぶ違う答えでした。低評価で多いのは「難しすぎて遊べない」ではなく、届いたときのにおいと「5分で解かれた」。効果のほうも、2026年1月に出た試験では犬の行動そのものに差が出ていません。

ノーズワークマットは散歩の置き換えではなく、行けない日の埋め合わせです

宿の布団の上で、白いシーツにあごをのせて眠っているポメプーのパフィ

ノーズワークマットは、散歩をやめて代わりにするものではありません。嗅覚を使う遊びが犬の気分に効くことは複数の研究で示されていますが、散歩とエネルギー消費を比べた測定は見当たりませんでした。使いどころは「今日は外に出られない」という日の穴埋めです。

うちのパフィ(ポメプー・メス・2歳・5.12kg)を見ていると、散歩でいちばん時間を食うのは電信柱のにおいチェックです。1本に30秒以上かけることもザラで、そのあとは満足したような顔で帰ってきます。嗅ぐことがそれだけ大きな仕事なら、外に出られない日に鼻を使わせるのは理にかなっている。そう思って調べ始めました。

ただ、「10分で散歩1時間ぶん」のような言い方はあちこちで見かけるものの、その数字がどこから出たのかは追いきれませんでした。数字を根拠にするより、下の2つの研究が示した中身で判断したほうが確かです。散歩そのものについては犬の散歩は1日何分が目安かにまとめています。

2週間ノーズワークを続けた20頭は、当たりはずれのわからない器へ早く近づきました

2019年に発表された研究では、成犬20頭を2つに分け、10頭が鼻を使って探す遊び、10頭が飼い主の横につく練習をしました。2週間後、探す遊びをした側だけが、中身のわからない器へ向かう時間が短くなっています。

テストの組み立てはこうです。まず「ここに置かれた器には必ずごはんが入っている」「こっちの器には絶対に入っていない」を犬に覚えさせます。そのうえで、2つのちょうど真ん中に空の器を置く。当たりかはずれか読めない場所へ、どれだけ迷わず近づくか。近づくのが早いほど「たぶん入っている」と構えている、つまり楽観的だと読む仕組みです。

犬種はオーストラリアン・シェパードやハスキー、コッカー・スパニエルなど、ばらばらでした。教室に1回出たあと自宅で1週間毎日練習し、もう1回教室に出て、また1週間。この程度の量で変化が出たというのは、家でやる遊びに当てはめやすい結果だと思います。

4週間の教室で差が出たのは、犬の行動ではなく飼い主の手応えでした

4週間のノーズワーク教室としつけ教室を比べた試験の結果。差が出なかったのは犬の行動、飼い主との関係、楽観度のテストで、差が出たのは飼い主が感じる暮らしの質だけ

2026年1月に出た試験では、飼い主と犬を4週間の嗅覚クラスと基礎のしつけクラスへランダムに振り分けました。結果は、行動の尺度でも関係性の尺度でも、さきほどの楽観度テストでも、2つの群に有意な差は出ていません。

差がついたのは1つだけでした。「うちの子の暮らしの質が上がった」と答えた飼い主が、嗅覚クラスの側に有意に多かった。著者はここから、ほめて教える教室はどちらも犬にとって良く、嗅覚クラスもその仲間だろう、という控えめな結論を置いています。

この2本を並べると線が引けます。何もしないより嗅がせたほうがいい。ただし、ほかの良い遊びより優れているとまでは言えていない。2024年に出た嗅覚活動の総説も、1,115本から31本を絞り込んだうえで、家庭犬を対象にした福祉の研究が足りないと書いていました。

だから「これを買えば運動不足が解決する」とは書けません。書けるのは、外に出られない日に鼻を使わせる手段がひとつ増える、というところまでです。

隠すのはおやつではなく、その日のごはんを移すほうが続きます

5.12kgの犬が1日にマットへ移せる量の比較。ごはんは84g、おやつ枠は33kcalでフード8g相当

ノーズワークマットに隠すものは、おやつよりごはんのほうが現実的です。おやつでやると、毎日続けた時点でカロリーがはみ出します。パフィの場合、1日に回せるおやつは約33kcal。フードに直すと8gぶんしかありません。

60cm四方のマットには、ひだが何十も付いています。そこへ8gを散らしても、1か所に数粒がやっとです。ところがパフィの1日のフードは84gから96g。朝ごはんの半分をマットへ移せば、量もカロリーも増えないまま、探す時間だけが増えます。

うちはおやつをあげた日はその分ごはんを減らす引き算でやりくりしていて、これはトリミングサロンで「ちゅーるの食べすぎはよくない」と言われてから続けている習慣です。マットを足し算で使い始めると、この引き算が破綻します。

実際、プラスチックのパズルのほうでは最初からごはんを入れている人がいました。

3ヶ月のマルチーズです。全部の穴にフード入れました。5分くらいで、鳴き始めました。諦めたのかと思ってたら、全部食べてました。(★3)

早食いが気になっている方は、食器を替えるより先にこちらを試す手もあります。食器側の話は犬の早食い防止食器の選び方に書きました。

買って最初にやるのは遊ばせることではなく、洗うことです

布のノーズワークマットが届いてから遊ばせるまでの3段階。届く、洗って乾かす、遊ばせる

ノーズワークマットは、届いたその日に一度洗ってから使います。低評価をたどると、においと毛羽落ちの指摘が並んでいて、どちらも洗えば消える話でした。遊ばせてから気づくと、おやつと一緒に繊維を飲み込ませることになります。

評価がいちばん高かったCOREMO+のマット(★4.68)は、★3以下が14件しかありません。その少ない指摘の中に、においの話が3件入っていました。

見た目などは写真の通りでしたが、開封した時の匂いが石油系でしばらくおいても消えずノーズワークをさせるのに抵抗があり、まだ使用していません(★1)

しっかりとした作りで、可愛かったです。でも臭いがきつくて何回かファブリーズしましたがまだ臭います。今梅雨なのでなかなか洗えないけど一回洗濯したほうがいいかも。(★3)

鼻を使わせる道具なのに鼻に来るにおいがある、というのは相性が悪い。ただこの商品は洗濯機で洗えて、乾きが早いという声が16件付いています。順番を入れ替えるだけで、低評価の理由の大半は前もって潰せます。

毛羽落ちのほうはもっと切実で、17柄から選ぶタイプの★1にこう書かれていました。

デザインは写真通りで可愛いものの、フェルトの毛玉?残骸?がすごすぎて、初回から犬が誤飲連発で速攻で取り上げました。(★1)

この商品は店側も「新品の状態では小さな繊維や糸くずが出やすいため、ご使用前に水洗いをしてからご使用ください」と案内しています。売る側が先に洗えと言っているものを、そのまま出さない。ここだけは手順として決めておいたほうがいいです。

低評価でいちばん多いのは「難しすぎる」ではなく「5分で解かれた」です

ノーズワークマットで多い不満は、犬が探せないことではありません。すぐ解かれてしまうことです。サイトで扱う知育玩具10点の低評価を分類したとき、難易度についての指摘は18件あって、その全部が「簡単すぎる」側に寄っていました。

プラスチックのパズルではもっとはっきりします。Purple7のノーズワークパズルは、難易度についての声が好意33件に対して指摘6件。「難しくて遊べない」ではなく「すぐ覚えて上手になる」方向の評価です。

最初は興味を持って、遊びながらオヤツを探していましたが、2〜3日で速攻出せるようになってしまいました。(★3)

だから最初に選ぶとき、簡単なほうへ寄せる必要はあまりありません。MILASICのノーズワークフードボウルは、肉球・丸・星・花の4形状が難易度の違いとして売られていて、肉球がいちばん簡単です。そしてその肉球に「一発で習得してしまいました」という★2が付いている。

いっぽうで、いきなり深く隠すと諦める子もいます。

まだ知恵が働かないようで隠し場所によっては全く見つけられないので、チラッと隠したおやつを見せるなどのヒントを与えながらコツを覚えさせる必要があるのかなと。(★3)

最初の数回だけひだの上に置いて見せ、そこから浅く、深く、と移していく。この渡し方は遊ばない子への知育玩具の渡し方で3段階に分けて書いています。

布とプラスチックの分かれ目は、毎回洗えるかどうかです

ノーズワークマットは布とプラスチックに分かれます。選ぶときの分岐は難易度でも値段でもなく、使うたびに洗えるかどうかでした。布は隠したおやつのかけらが奥に入り込むので、洗う頻度が上がるほどプラスチックが有利になります。

商品名タイプサイズ洗い方価格ショップ
COREMO+のノーズワークマットSサイズ布60×60cm洗濯機可・乾きが早い3,480円
評価4.68。今回調べた知育玩具9点でいちばん高い数字です楽天市場で見る
17柄から選べるノーズワークマット布43×43cm〜72×72cm洗濯ネット使用・漂白剤不可2,980円
17柄。同じ値段でも柄によって大きさが変わります楽天市場で見る
Sarlisiのにんじん畑ノーズワークマット布38×33×高さ10cm手洗いのみ3,980円
楽天ランキング358回連続1位楽天市場で見る
Purple7の犬のノーズワークパズルプラスチック25×25×厚み3cm水洗い可・振って水を抜く1,580円
1,580円。133件のレビューで★1が0件です楽天市場で見る
MILASIC ノーズワークフードボウルER-HCPETプラスチック重さ265g・4形状丸洗い可・中に水が残る1,480円
1,480円。4形状×4色の16通りから選べます楽天市場で見る

布から乗り換えた人の声が、この差をいちばん短く言い当てていました。

色んなノーズワーク(布)試したけど… これが今のところ良い 今までも布製が多くて、洗っても汚れやベタつきが取れなかったり… 布製だったから毎回洗えず、汚れが気になった時に洗うようにしてたけど、臭いが… でもこの商品は、布製じゃないから使用後、簡単に拭き取ったり… 水洗いできるから嬉しいです。(★3)

ただしプラスチックにも弱点があって、どちらも乾きにくい。スライドさせる蓋の内側に水が入るためで、洗ったあとは振って抜く手間が要ります。素材で選んだつもりが、実は形で手間が決まっているという構造です。

布の中で選ぶなら、洗濯機に入るかどうかで絞れます。COREMO+は洗濯機、17柄はネットに入れて洗濯機、Sarlisiのにんじん畑は手洗いのみ。週に何回も使うつもりなら、手洗いはだんだん重くなります。

サイズの読み違いにも触れておきます。17柄タイプは柄ごとに大きさが変わり、いちばん小さいL・Mの43×43cmといちばん大きいQの72×72cmでは面積が約2.8倍違います。柄の見た目で選ぶと、届いてから大きさに驚くことになります。

留守中に置きっぱなしにしないのは、滑り止めの誤飲が報告されているからです

カーペットに伏せたポメプーのパフィ。前足の間に緑と青のボールが置いてある

ノーズワークマットは、人がいる時間に出して、終わったら片付ける道具です。留守番の暇つぶしに置いておきたくなりますが、報告されているトラブルはどれも見ていれば防げるものでした。

いちばん具体的なのがMILASICのノーズワークフードボウルで、裏面の滑り止めゴムを飲み込んだという★2が2件あります。しかも同じ人が、別の形をもう1つ買って2回目を経験していました。

滑り止めの一つを誤飲してしまいました。心配で、これ以上誤飲されないようにと手で取り外したら、とても簡単に取り外しができて驚きました。きちんと接着されているものだと思っていました。本体を裏返してしまう子は注意してください。(★2)

店側も「裏面の滑り止めパーツは、強く噛んだり無理に引っ張ったりすると外れるおそれがあります」と書いています。本体をひっくり返して遊ぶ子なら、最初から滑り止めを外して、代わりに滑り止めマットの上へ置くほうが安全です。

布のほうは噛みちぎりです。17柄タイプは耐久性だけ好意8件に対して指摘9件と逆転していて、「犬が1度使っただけでもうフェルト生地が2ヵ所裂けていました」という★1が付いています。噛んで引っ張るタイプの子には、布は向きません。

もうひとつ、床との相性もあります。17柄タイプの裏は吸盤で、クッションマットやカーペットの上では効きません。うちのリビングはタイルカーペットなので、ここは買う前に確かめる項目です。

粗相の報告も1件ありました。「食べ終わるとたまにトイレと勘違いするのか、マットの上でしてしまう」。トイレトレーニングの最中なら、時期をずらしたほうが余計な学習を入れずに済みます。留守番そのものの考え方は犬の留守番は何時間まで大丈夫かに書いています。

うちは1,580円のパズルで試してから、3,480円の布マットへ進みます

順番を決めました。まず1,580円のPurple7のノーズワークパズルで、そもそも探す遊びが好きな子かどうかを見る。夢中になるようなら3,480円のCOREMO+の布マットへ進む。この2段構えなら、合わなかったときの痛手が1,580円で止まります。

こう考えるのには理由があります。うちは2,327円のコングのワブラーで一度外していて、パフィは起き上がりこぼしのような動きを警戒して、においを嗅ぐだけで触りませんでした。逆に814円のドギーマンの学びのたまごは2年続いています。分かれ目は値段ではなく、動きが読めるかどうかでした。

その点で布のマットは、動きません。音も鳴りません。コングで詰まった理由が動きだったなら、そこは引っかからないはずです。ただ、鼻で探す遊びそのものが好きかどうかは別の話なので、そこを安いほうで確かめてから進みます。

コングのような動く玩具で一度外しているなら、動かないマットなら同じ理由では引っかかりません。鼻を使う遊びが好きかどうかを、安いほうで確かめてください。

散歩に行けない日の過ごし方は、鼻を使う遊びだけではありません。体を使う遊びと組み合わせた全体像は散歩に行けない日の室内運動にまとめてあります。