「おいで」と呼んでもこっちを見るだけで来ない。遊びに夢中になると走り出して戻ってこない。犬の呼び戻しが来ないことで困っていませんか。うちのポメプー、パフィ(メス・2歳)も、興奮スイッチが入ると今でも知らんぷりで走り出します。
結論から書くと、呼び戻しは「名前で振り向く」と「おいでで来る」を分けて教えると、興奮していても戻りやすくなります。うちは生後3〜4ヶ月から室内でコツコツ続けて、外で興奮しても名前を呼べば一度こちらを向くようになりました。この記事では、まず犬が呼び戻しで来ない理由を整理して、そのうえでうちがやっている「名前→おいで」2段階トレーニング、走り出す時の対処、そして「叱る声と呼ぶ声を分ける」という地味だけど効いたコツまで、実体験そのままに紹介します。
犬が呼び戻しで「来ない」のはなぜ?よくある3つの理由
犬が呼び戻しで来ない主な理由は、「呼ばれて行った先で嫌なことがあった」「遊びや匂いに夢中で興奮している」「名前や”おいで”が叱られる合図とむすびついている」の3つです。ほとんどの場合、犬がわがままなのではなく、来たくなくなる理由が積み重なっているだけなんですよね。
特に多いのが1つ目です。爪切りや歯磨きなど苦手なことのたびに「おいで」と呼んでいると、「呼ばれて行くと嫌なことをされる」と覚えてしまいます(ペット用品通販ペピイのコラムでも、これが呼んでも来ない代表的な原因として挙げられています)。
パフィの場合は2つ目が当てはまります。普段は名前を呼べば振り返るのに、過度に興奮していると「おいで」と声をかけても立ち止まって振り返るだけ。そのまま走り出してしまうんです。これは怒っているわけではなく、楽しさのほうが勝っているだけ。だから無理に叱らず、興奮が少し落ち着くまで待つようにしています。
3つ目も見落としがちです。来ないからとつい大きな声で叱ると、犬は「名前=怒られる合図」と混同してしまいます。ここはうちもかなり気をつけているポイントで、後の章でくわしく書きます。
呼び戻しができると、散歩も留守番も安心になる

呼び戻しは「芸」ではなく、犬を危険から守る安全装置です。リードが外れた時、玄関が開いた瞬間、散歩中に何かを拾おうとした時。ひと声で戻れるかどうかが、事故を防ぐ分かれ目になります。
うちは身をもってこれを学びました。パフィは子犬の頃に拾い食いの癖があって、散歩のたびにヒヤッとしていました。注意したりリードで止めたりを繰り返してだいぶ収まりましたが、もし呼び戻しができていなかったらと思うと今でもゾッとします。実際、留守番中にぬいぐるみのビーズを飲み込んでしまって動物病院に駆け込んだこともあり、「口に入れる前に止められる」ことの大切さは何度も痛感しています。
散歩中に道路へ飛び出しそうになった時、開いたドアから出ていこうとした時。「おいで」で戻れる犬は、それだけで守れる場面がぐっと増えます。芸を覚えさせる感覚ではなく、命綱を一本用意するつもりで取り組むと、練習のモチベーションも続きやすいです。
うちがやった「名前→おいで」2段階の呼び戻し
うちの呼び戻しは、「名前で振り向く」と「おいでで来る」を分けた2段階で教えています。名前は”注意をこっちに向ける合図”、おいでは”来る合図”と役割を分けることで、興奮している時もまず名前で一度こちらを向かせられるようになりました。
生後3〜4ヶ月から、部屋の中でこんな流れを繰り返しています。
- 名前を呼んで振り向いたら褒める。「パフィ」と呼んで、こっちを見たらすかさず「いい子!」。まずは名前=いいことが起きる合図にします。
- 振り向いたら「おいで」、来たらおやつと褒め言葉。こちらに来たら思い切り褒めて、小さなおやつをひとつ。「呼ばれて行くと楽しい」を体に覚えてもらいます。
- 距離と場所を少しずつ広げる。最初は目の前から、慣れてきたら部屋の端から、と難易度を上げていきます。
この2段階が効いているなと感じたのは外出先でした。興奮して落ち着かない時でも、まず「パフィ」と名前を呼んで一度こちらを向かせ、それから「おすわり」や「おいで」の指示を出すと落ち着いてくれるんです。いきなり「おいで」だと届かないのに、名前をワンクッション挟むと通りやすい。これは2段階で教えておいてよかったと思っています。
| 段階 | 合図 | 来た時のごほうび |
|---|---|---|
| 1 | 名前(パフィ) | 振り向いたら褒める |
| 2 | おいで | 来たら褒める+小さなおやつ |
子犬の頃から号令を生活に取り入れておくと、後がぐっと楽になります。トイレを覚えさせた時も「トイレ、トイレ」と声をかけ続けて号令と行動を結びつけたので、呼び戻しも同じ要領でした。しつけ全般の進め方に迷う方は、しつけ教室は必要かも参考になると思います。
来てくれたら全力で褒める。おやつは「釣り」じゃなく「ご褒美」

呼び戻しで来てくれたら、毎回しっかり褒めるのが一番のコツです。「呼ばれて行くといいことがある」と犬が思えるほど、次も喜んで戻ってくるようになります。逆に、来たのに無反応だと「行っても意味ないや」となってしまうんですよね。
ここで一つ気をつけたいのが、おやつの出し方です。手におやつを持って見せながら呼ぶと、おやつがない時に来なくなりがちです。プロのトレーナーの記事でも、おやつは釣りの道具ではなく、来た後に出すご褒美にするのがコツとされています。うちも呼ぶ時は手ぶら、来てから褒めておやつを心がけています。
パフィは来てくれた時には思い切り褒めて、小さなおやつをあげています。フードはあまり食べてくれない偏食気味の子なんですが、ご褒美のおやつには目がないので、呼び戻しの練習とは相性がよかったです。呼んでも来ない時でも叱りません。ここは次の章とつながる大事なところです。
場所と難易度を少しずつ上げる
呼び戻しは、室内の簡単な場所から始めて、徐々に難しい環境へ広げていくのが基本です。いきなり外の刺激が多い場所で練習しても、犬は誘惑に勝てません。成功体験を積める場所から、ステップを踏んで広げます。
うちのステップはこんな感じです。
| 場所 | リードの扱い | パフィの様子 |
|---|---|---|
| 室内 | なし | 落ち着いて来られる。練習の基本はここ |
| 庭 | リード付き | 外の匂いが気になるが来られる |
| 公園 | リード付き | 匂いに夢中で止まることも。リードで安全確保 |
| 整備されたドッグラン | ノーリード | 呼ぶとちゃんと戻ってくる |
公園ではリードを付けたままにしています。整備されたドッグランのように囲いがある場所でだけリードを外して走らせていて、呼べば戻ってきてくれます。安全が確保できない場所では絶対にリードを外さない。これは呼び戻しがどれだけ上達しても変えていません。万が一来なかった時のリスクが大きすぎるからです。
ちなみに、散歩中に匂い嗅ぎに夢中で「来ない・動かない」のは呼び戻しとは少し別の話です。電柱や点字ブロックの匂いを延々と嗅いで座り込むタイプの「歩かない」については、散歩で歩かない犬の対処にうちの付き合い方をまとめています。
それでも来ない「興奮スイッチ」が入った時

どれだけ練習しても、興奮が振り切れた時は来ないことがあります。これは正直、ある程度しかたないと思っています。大事なのは、来ない前提で安全を確保しておくことと、興奮を一段下げる声かけを用意しておくことです。
パフィは他のワンちゃんと遊んでいる時に興奮スイッチが入ると、呼んでも知らんぷりすることが時々あります。そんな時に効くのが、やっぱり名前で一度こちらを向かせること。「おいで」を連呼するより、まず「パフィ」と名前を呼んで意識をこちらに戻し、落ち着いたところで指示を出すほうが届きます。
それでもダメな時は無理に呼び続けません。連呼すると「おいで=聞き流していい言葉」になってしまうからです。近づいて落ち着くのを待つか、安全な場所ならリードでそっと距離を縮めます。完璧な呼び戻しを目指すより、「興奮しても最後はリードで守れる」状態にしておくほうが、お互い気楽です。物音や刺激で一気に興奮してしまう子は、物音に吠えるしつけのように、興奮そのものをならす練習を並行するのもおすすめです。
呼び戻しでやらないほうがいいこと
呼び戻しでは、「来たら叱る」「来ないから追いかける」「叱り声で呼ぶ」の3つを避けるのが鉄則です。どれも犬に「呼ばれて行くと嫌なことがある」と思わせてしまい、せっかくの練習が逆戻りします。
うちが特に気をつけているのが、叱る声と呼ぶ声の大きさを分けることです。いたずらを叱る時の声と、呼び戻しの声が同じトーン・同じ大きさになると、パフィが「名前=怒られる合図」と混同してしまうんじゃないかと思って。だから呼び戻しの「おいで」は、いつも明るく弾んだ声を意識しています。来てくれなくても、ここで叱ることは絶対にしません。
避けたいことを整理するとこうなります。
| やりがちなこと | なぜダメか | 代わりにどうする |
|---|---|---|
| 来たのに叱る | 「行くと怒られる」と学習する | 来たら必ず褒める |
| 来ないから追いかける | 追いかけっこの遊びだと勘違いする | しゃがんで明るく呼ぶ、逃げるふりをする |
| 叱る声で呼ぶ | 名前=怒られる合図と混同する | 呼ぶ声は明るく弾ませる |
逃げるふりをすると追いかけてくる子も多いので、来ない時はむしろ自分が逆方向に動くと戻ってきやすいです。パフィも帰宅時に興奮して飛びついてくるくらいなので、「飼い主のほうへ行きたい」気持ち自体は強い子。その気持ちを叱って冷やさないことが、結局は一番の近道でした。
呼び戻し練習に使っているもの

呼び戻しの練習を支えてくれるのが、ご褒美用のおやつとロングリードです。どちらも特別高価なものは必要なく、「成功体験を作る」「安全に距離をとって練習する」ための道具として役立ちます。
ご褒美おやつは、ぱくっと一口で食べられる小粒タイプが向いています。大きいおやつだと食べるのに時間がかかって、テンポが崩れてしまうんですよね。パフィにはいつものおやつを小さくちぎって使っています。
公園など広い場所で練習するなら、5メートル前後のロングリードがあると安心です。リードを付けたまま距離をとって「おいで」の練習ができるので、ノーリードにする前のステップにちょうどいい。うちも伸びるリードが気になっていたところで、トレーニング用に1本あると練習の幅が広がります。
「来ないうちの子」じゃなく「まだ練習中」。焦らないのが一番効いた
犬の呼び戻しが来ないのは、わがままでも頭が悪いわけでもなく、来たくなる理由がまだ足りていないだけのことが多いです。うちは「名前で振り向く→おいでで来る」の2段階で教えて、来たら全力で褒めて、叱る声と呼ぶ声を分ける。これを子犬の頃から地道に続けて、興奮しても名前で一度こちらを向くようになりました。
それでも他の犬と遊んで夢中になれば、今でも知らんぷりすることはあります。でもそれでいいと思っています。完璧を目指してイライラするより、「まだ練習中だもんね」と構えて、安全はリードで守る。そのくらいの気持ちのほうが、結果的にパフィもよく戻ってくるようになりました。呼び戻しは一日にしてならず。焦らずいきましょう。






