愛犬が急に「ウーッ」と低い声で唸ると、ドキッとしますよね。うちのポメプー・パフィ(ポメラニアン×トイプードルのミックス犬・2歳・メス)も、知らない人やインターホンの音に唸ることがあって、迎えたばかりの頃は「どう返してあげればいいの?」と本当に戸惑いました。

犬が唸る対策でいちばん大事なのは、叱らないことです。唸りを叱って抑えこむと、犬は「唸っても無駄だ」と学んで、次は前ぶれなくいきなり噛むようになることがあります。これは僕が甘噛みの時期にやってしまった失敗でもあります。

この記事では、犬が唸る6つの理由から、触る・来客・家族など状況別の対処法、やってはいけないNG対応、そして病院に相談すべき目安までをまとめました。パフィのしつけで実際に効いたこと・失敗したことに加えて、犬の行動にくわしい獣医師やしつけのプロが伝えていることも参照しながら、家庭でできる対応に絞ってお話しします。

犬が唸るのをやめさせる対策の基本

犬が唸るのをやめさせる対策の基本は、唸りそのものを止めにいくのではなく、「①痛みを疑う → ②引き金を見つける → ③叱らず引き金を遠ざける・交換する」の順で向き合うことです。唸りは「やめて」「こわい」という気持ちのサインなので、サインだけ消しても気持ちが消えるわけではないんですよね。

うちでも、パフィがなぜ唸っているのかを先に考えるようにしたら、対応がぐっと楽になりました。順番に詳しく見ていきます。

犬が唸るのはなぜ?6つの理由

犬が唸るのはなぜ?6つの理由

犬が唸るのは、遊びの場面をのぞけば、ほとんどが「今の状況がイヤ」という気持ちの表れです。怒っているというより、「これ以上近づかないで」「取らないで」と伝えている、と考えるとしっくりきます。Honda Dogやいぬのきもちなどの解説でも、唸りは威嚇だけでなく恐怖・防衛の気持ちが大きいとされています。

代表的な理由を整理すると、次の6つに分けられます。

理由どんなとき対応の方向
警戒・恐怖知らない人・大きな音・初めての場所距離をとって安心させる
縄張り意識来客・インターホン・玄関刺激を減らす・落ち着ける場所へ
ものを守りたい(資源ガード)おもちゃ・ごはん・寝床を取られそう取り上げず交換する
痛み・体調不良触ると唸る・特定の場所をいやがるまず動物病院へ
触られる・拘束がいや抱っこ・ブラッシング・足ふき少しずつ慣らす
興奮遊びがヒートアップしたときいったん遊びを止める

うちのパフィの場合、いちばん多いのは警戒・恐怖でした。知らない人がいると大声で吠えて隠れ、それでもかまってくる人にだけ唸ったり噛もうとしたりします。これは甘えん坊な性格とは別の、防衛のスイッチが入っている状態なんだなと感じています。

理由の背景には、子犬の頃の社会化が関わっていることも少なくありません。うちは社会化期に人や犬に会う機会をうまく作れなかった反省があり、そのあたりは子犬の社会化のやり方をまとめた記事に詳しく書いています。

唸りは「噛む前の警告サイン」なの?

はい、唸りは多くの場合、噛みつきの一歩手前で出る「警告サイン」です。「これ以上はイヤだよ」という最後の予告なので、ここで叱って唸りを封じてしまうと、犬は警告をスキップしていきなり噛む方向に進んでしまうことがあります。

正直に言うと、うちのパフィは社会化が足りなかったぶん、この警告がとても短い子でした。十分に唸って教えてくれる前に、サッと噛みにくることがあったんです。だからこそ、唸りは「困っているよ」のサインとして残しておきたいもの。消すべきは唸りではなく、唸らせている原因のほうなんですよね。

噛みつきにつながる前の段階での向き合い方は、甘噛みをやめさせる方法の記事も参考になります。うちが無言で対応して落ち着かせた話も、そちらに具体的に書いています。

唸りトリアージ3ステップで対応する

犬が唸ったときに僕が落ち着いて動けるようになったのが、「唸りトリアージ3ステップ」という向き合い方です。「トリアージ」は緊急度の高いものから順に対応する、という意味で使っています。難しいことはなく、次の順番で確認するだけです。

  1. 痛み・体調を疑う:急に唸るようになった、体を触ると唸る場合は、まず動物病院へ。わがままではなく痛みのサインのことがあります。
  2. 引き金(トリガー)を特定する:どんなときに唸るかをメモします。来客・抱っこ・ごはん・特定の人など、唸る直前に何があったかを書き出すと原因が見えてきます。
  3. 叱らず、引き金を遠ざける・交換する:原因が分かったら、その状況を減らすか、いやな出来事を「いいこと」に置きかえます。取り上げず交換する、距離をとる、落ち着ける場所へ誘導する、などです。

この順番のいいところは、1番で「病気の見落とし」を防げること。うちは関節(パテラ)の触診をしてもらう習慣があるので、「触ると唸る」が出たら体の不調をまず疑うようにしています。原因の切り分けができると、家庭でやるべきことが「叱る」から「環境を整える」に変わります。

状況別の犬が唸る対策

状況別の犬が唸る対策

ここからは、よくある4つの場面ごとに具体的な対処法をまとめます。共通するのは、取り上げない・なだめない・叱らないの3つです。

場面やることやらないこと
触る・抱っこで唸るまず痛みを疑う/短い接触から慣らす無理に抱き上げる
ものを守って唸るおやつと交換する力ずくで取り上げる
来客・インターホンで唸る刺激を減らす/ハウスへ誘導玄関で叱る
家族・子どもに唸る距離と関わり方を見直す子どもに追いかけさせる

触る・抱っこで唸るとき

触ると唸るときは、まず「痛いところがないか」を疑うのが先決です。それから、犬が受け入れやすい短い接触で少しずつ慣らしていきます。唸って興奮している愛犬を無理に抱き上げたり、なだめようと抱きしめたりするのは逆効果で、いぬのきもちの解説でも「興奮を強める」と注意されています。

パフィはブラッシングや歯みがきを毎日のルーティンにして慣らしてきたので、今ではお手入れで唸ることはほぼありません。コツは、いやがる一歩手前でやめて、できたら褒める。これを根気よく続けることだったなと思います。

おもちゃやごはんを守って唸るとき

ものを守って唸るときは、取り上げず「交換」するのが基本です。犬がくわえているおもちゃに対して、もっと魅力的なおやつを見せて「ちょうだい」と交換します。おやつを持って近づいても唸るなら、無理せず、唸りやんで落ち着いてから渡すようにします。

これは犬の本能なので、「悪いこと」として叱らないのが大事なんですよね。「人が近づく=いいものがもらえる」と覚えてもらえれば、守る必要がなくなっていきます。

来客やインターホンで唸るとき

来客やインターホンで唸るときは、唸りを叱るより、刺激そのものを減らす環境調整が効きます。うちでいちばん効いたのは、宅配を置き配にしてインターホンが鳴る回数を体感で半分以下に減らしたことでした。トレーニングより即効性があって驚いたほどです。

鳴ってしまったときは「ハウス!」でサークルへ誘導し、玄関から距離をとって落ち着かせます。罰ではなく避難場所として使うのがポイント。チャイムへの反応そのものの対策は、インターホンに吠えるときのしつけ記事にまとめています。

家族や子どもにだけ唸るとき

特定の家族にだけ唸るときは、その人との過去の関わり方を見直すことから始めます。うちは子犬の頃、当時6歳だった娘がパフィのおもちゃを取り上げてしまうことがあり、「娘=自分のものを奪う相手」という学習が残ってしまいました。2歳になった今でも娘にだけは唸ったり噛んだりすることがあります。

対策として、娘には「追いかけない・取り上げない・ごはん中はそっとしておく」を約束してもらい、おやつをあげる役をお願いしました。いやな相手から、いいことをくれる相手へ。時間はかかりますが、子犬期についた関係は、関わり方を変えて少しずつ上書きしていくしかないなと感じています。

やってはいけない犬が唸るときのNG対応

犬が唸るときにやってはいけないのは、叱ること・大声を出すこと・抱いてなだめることです。どれも一見よかれと思ってやりがちですが、唸りを強めたり、噛みつきの引き金になったりします。

僕自身、ここはたくさん失敗しました。具体的にはこんなことです。

  • 「ダメ!」と大声で叱る:パフィの甘噛みの時期、「痛い!」と叫んだり怒ったりしたら、遊びと勘違いされて噛みがエスカレートしました。
  • チャイムで怖がっていると思って抱っこ:落ち着かせるつもりが、かえって興奮させてしまいました。
  • 唸りを無理やり押さえこむ:その場は止まっても、原因が残っているので根本的な解決になりません。

PS保険の行動診療科獣医の解説でも、「唸ったら叱る」は犬を抑圧するだけで、唸らずに前ぶれなく攻撃するようになる危険があると指摘されています。叱って消すのではなく、唸らせている状況を変える。遠回りに見えて、これが一番の近道でした。

「突然唸るようになった」のは病気のサインかも

「突然唸るようになった」のは病気のサインかも

今まで唸らなかった子が突然唸るようになった、体を触ると強く唸る、特定の場所をいやがる——こうしたときは、しつけの問題ではなく痛みや病気のサインの可能性があります。この場合は対処法を試す前に、動物病院で体に異常がないかを診てもらうのが先です。

受診を考えたい目安をまとめておきます。

  • 急に・理由が思い当たらないのに唸るようになった
  • 体の特定の場所を触ると毎回唸る・いやがる
  • すでに噛みついてくる、攻撃が激しくなっている
  • 元気・食欲の低下など、ほかの不調も一緒にある

特に「すでに噛んでくる」「攻撃が強い」場合は、家庭での対応だけで抱えこまず、かかりつけの動物病院や、行動を専門に診る行動診療科の獣医師に相談してください。うちもお腹を壊したときなどはすぐ病院に頼っていて、専門家に切り分けてもらえる安心感は大きいです。

しつけ教室やプロに相談する目安

家庭での工夫で改善が見えないときや、咬みつきが心配なときは、しつけのプロに相談するのが結局いちばんの近道です。唸り・噛みは飼い主だけで抱えこむほどこじれやすいので、早めにプロの目を入れる判断は前向きなものだと思います。

正直に言うと、うちは北陸の田舎で通いやすい教室が近くになく、自宅でのしつけが中心でした。トイレや「ハウス」はそれでうまくいった一方、知らない人への唸りや物音への反応は、今ふり返るとプロの環境のほうが効いた気がしています。教室やトレーナーの選び方はしつけ教室は必要かを考えた記事にまとめているので、迷っている方は見てみてください。

唸りは叱らず、原因に向き合う

犬が唸る対策は、唸りを叱って消すのではなく、唸らせている原因に向き合うことに尽きます。痛みを疑い、引き金を見つけ、叱らず遠ざける・交換する。この「唸りトリアージ3ステップ」で、家庭でできることがぐっと見えてきます。

唸りは困りごとであると同時に、「今つらいよ」と教えてくれる大切なサインでもあります。うちのパフィも、原因を一つずつ減らしていくうちに、唸る場面はずいぶん減りました。完璧を目指さず、今日できる小さな環境調整から始めてみると、お互いにラクになっていくはずです。噛みつきが心配なときは、無理せず動物病院や行動診療科の獣医師を頼ってくださいね。

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