散歩に出ると、電柱のたびにピタッと立ち止まってクンクン。次は消火栓、その次はガードレール。「また止まった…」と思いながらリードを持つ手を引っ張ってしまう。これ、うちだけじゃないですよね? うちのポメプー(ポメラニアン×トイプードルのミックス犬)のパフィも、散歩で一番時間がかかるのが電柱とポストの前です。

犬が電柱の匂いを嗅ぐのは、ほとんどが「情報収集」と「マーキング」のため。つまり犬にとってはごく自然な行動で、無理に全部やめさせる必要はありません。とはいえ、嗅がせていい場所とそうでない場所はあるし、立ち止まりが匂いとは別の理由のこともあります。

この記事では、電柱の匂いを嗅ぐ理由から、やめさせるか迷ったときの線引き、うちでやっている上手な付き合い方まで、パフィの実例を交えてまとめました。読み終わるころには、散歩中の「また止まった」がちょっと愛おしく見えてくるはずです。

  • 電柱の匂い嗅ぎは「情報収集」と「マーキング」が二大理由
  • 全部はやめさせない。場所と時間を区切って付き合うのが正解
  • 点字ブロックの上・融雪剤のまかれた路面・排泄物の根本は避けたい
  • 立ち止まりには「嗅ぎたい・怖い・暑い」の3パターンがある

犬が電柱の匂いを嗅ぐのは「情報収集」と「マーキング」が理由

犬が電柱の匂いを嗅ぐ理由は、大きく2つです。ひとつは他の犬が残した匂いから情報を読み取る「情報収集」、もうひとつは自分の匂いを残して安心する「マーキング」。どちらも犬の本能に根ざした行動で、悪いクセではありません。

犬の嗅覚は人の数千倍から1億倍とも言われていて、僕たちには無臭の電柱も、犬にとっては情報がびっしり貼られた掲示板みたいなものなんだそうです。人間が通りすがりに貼り紙を眺めるのと同じ感覚で、犬は鼻で「町のニュース」を読んでいる、と考えるとしっくりきます。

理由犬がやっていること飼い主から見た様子
情報収集他の犬のおしっこの匂いから相手の情報を読むひたすらクンクン嗅ぎ続ける
マーキング自分の匂いを上書きして残す嗅いだあとに自分もおしっこをする

パフィはメスですが、電柱や郵便ポストには毎回しっかり反応します。マーキングはオス犬だけと思われがちですが、実際には性別を問わず見られる行動です。うちの子も「ここ、私も知ってる場所」と確認しているような顔で嗅いでいます。

なぜ電柱・消火栓・ガードレールばかり嗅ぐの?

なぜ電柱・消火栓・ガードレールばかり嗅ぐの?

犬が電柱や消火栓、ガードレールに集中するのは、それらが「固定されていて」「高さがあって」「他の犬のおしっこが集まりやすい」場所だからです。動かない目印は匂いの伝言板にちょうどよく、犬同士で代々受け継がれる人気スポットになっています。

固定されていて高さがある「におい掲示板」になりやすい

電柱や消火栓は動きません。だからこそ「あの角の電柱」という共通の目印として機能します。犬は足を高く上げて、なるべく高い位置に匂いをつけようとすることがありますが、これは高い位置の方が消えにくく、自分を大きく見せられるからとも言われています。

パフィの場合、散歩で必ず立ち止まるポイントがいくつか決まっています。同じ電柱、同じポスト、同じガードレールの角。毎回そこで足が止まるのを見ていると、犬の世界にも「みんなが見る掲示板」があるんだなと感じます。

他の犬のおしっこが濃く残る場所だから

人気の電柱には、いろんな犬の匂いが何重にも重なっています。新しい匂いがあれば「新顔が来たな」、いつもの匂いがあれば「あの子は元気だな」という具合に、犬は重なった匂いを一枚ずつめくるように嗅ぎ分けているそうです。だから一本の電柱で、あんなに長く粘るんですね。

最近のパフィは電柱だけでなく、地面の点字ブロックの匂いを延々と嗅いで座り込んでしまうこともあります。未知の感触や匂いが気になるのか、急にスイッチが入ったように動かなくなる。これはこれで困りものですが、本人はいたって真剣です。

匂いから犬は何を読み取っている?

犬は他の犬のおしっこの匂いから、相手の性別・年齢・体調・通った時間までを読み取っていると言われています。人間でいえば、すれ違った相手の自己紹介カードを一瞬で読んでいるようなもの。電柱の匂い嗅ぎは、犬にとって立派なコミュニケーションです。

獣医師やドッグトレーナーの解説でも、匂い嗅ぎは脳をしっかり使う行動で、ストレス発散や気分転換につながると説明されています。鼻を使って頭を働かせると、犬はほどよく疲れるそうです。

実際、パフィもたっぷり嗅がせて歩いた日は、帰宅後にソファでぐっすり寝ています。逆に時間がなくて足早に済ませた日は、夜になっても遊び足りない様子でボールを持ってくる。匂い嗅ぎは「運動」というより「頭の体操」なんだなと、毎日見ていて実感します。

嗅ぎたいの?それとも別の理由?散歩の足止め3サイン

嗅ぎたいの?それとも別の理由?散歩の足止め3サイン

散歩で立ち止まったとき、それが「匂いを嗅ぎたい」のか「別の理由」なのかを見分けると、対応がぐっとラクになります。うちでは足が止まったときに、嗅ぎたい・怖い・暑い(疲れた)の3つのどれかをまず確認するようにしています。これを我が家では「散歩の足止め3サイン」と呼んでいます。

サイン体の様子パフィの例どうする
嗅ぎたい鼻が地面や電柱に集中、しっぽは普通電柱や点字ブロックでクンクン座り込む少し嗅がせてから声をかけて再出発
怖い耳が後ろに倒れる、後ずさり、足が止まる知らない人とすれ違う、バイクの音でピタッ無理に引かず安心させて進路を変える
暑い・疲れた舌が長く出る、日陰で伏せる、歩度が落ちる夕方早めに出た真夏の日水分をとる、時間帯をずらす、抱っこ

同じ「動かない」でも、原因が違えば正解も違います。匂いなら少し付き合えばいいし、怖さなら引っ張るほど逆効果。暑さならそもそも歩かせない方がいい。立ち止まりの理由全般については、犬が散歩で歩かない原因8つでも詳しくまとめているので、合わせて読んでみてください。

やめさせるべき?そのままでいい?答えは「全部はやめさせない」

結論から言うと、電柱の匂い嗅ぎを完全にやめさせる必要はありません。匂い嗅ぎは犬の本能で、ストレス発散にもなる大切な行動だからです。最近は「やめさせる」より「嗅いでいい場所とダメな場所を分けて付き合う」という考え方が主流になっています。

ただし、ずっと好き放題に嗅がせていると散歩が一向に進まないし、後で触れるように衛生面で気になる場所もあります。だから「全部やめさせる」でも「全部好きにさせる」でもなく、時間と場所を区切るのがちょうどいい落としどころです。

うちも最初は「立ち止まるたびにリードを引く」をやってしまっていて、パフィと毎回プチ綱引き状態でした。今は前半にしっかり嗅がせる時間をつくり、後半は声をかけて切り上げるリズムに変えてから、お互いストレスが減りました。これは本当にやってよかったと思っています。

嗅がせていい場所・避けたい場所の線引き

嗅がせていい場所・避けたい場所の線引き

嗅がせていい場所と避けたい場所をあらかじめ決めておくと、迷わず対応できます。基本はふつうの電柱やガードレールならOK、人や衛生に関わる場所は避ける、という線引きです。

場所嗅がせる?理由
ふつうの電柱・ガードレールOK(時間を区切って)情報収集の楽しみ。本能を満たせる
点字ブロックの上避けたい目の不自由な人の通り道。座り込むと通行の妨げに
排泄物が直接ついた根本避けたい雑菌や病原体に触れるおそれ
融雪剤・凍結防止剤がまかれた路面避けたい・舐めさせない中毒やお腹を壊すおそれ(北陸の冬は要注意)
真夏の熱いアスファルトそもそも歩かせない肉球のやけど
他の犬がうなっている近く離れるかみつき・けんかなどのトラブル回避

北陸に住んでいると、冬は融雪剤が散布された道を避けて歩くのがほぼ無理なんですよね。パフィの肉球についた状態で舐めてしまわないか毎年ヒヤヒヤしていて、最近は犬用の靴を試してみようかと検討中です。地域によってこのあたりの事情は変わるので、自分の散歩コースで「ここは避けたい」という場所を一度見直してみるのがおすすめです。

電柱の匂い嗅ぎで気をつけたいリスク

電柱の匂い嗅ぎには、雑菌への接触・拾い食い・他の犬とのトラブルという3つの注意点があります。本能だから自由にさせていい行動ではありつつ、ここだけは飼い主が見ておきたいポイントです。

ひとつ目は衛生面。他の犬のおしっこやうんちが直接ついた場所に鼻を近づけると、雑菌や病原体に触れる可能性があります。嗅ぐだけならまだしも、近くに落ちているものを口に入れてしまう拾い食いはもっと心配です。

パフィも子犬のころは拾い食いの癖がありました。散歩のたびに「だめ」と声をかけ、口に入れる前にリードでそっと方向を変える、を根気よく続けたら、今ではほとんどしなくなりました。匂いを嗅いでいる流れでパクッといきやすいので、嗅がせるときほど手元はよく見ています。落ちているものを食べてしまう癖が気になる場合は、犬の食糞をやめさせる方法の考え方も参考になります。

3つ目は他の犬とのトラブル。匂いの濃い人気スポットは、ちょうど別の犬と鉢合わせしやすい場所でもあります。相手がうなっていたり、飼い主さんが距離を取りたそうにしていたら、無理に近づかず離れるのが安心です。吠えやすい子の落ち着かせ方は犬の無駄吠えのしつけでも触れています。

うちでやっている電柱の匂い嗅ぎとの付き合い方

うちでやっている電柱の匂い嗅ぎとの付き合い方

最後に、パフィとの散歩で実際にやっている付き合い方を手順でまとめます。むずかしいことはなくて、「前半で満たして、後半で切り上げる」が基本です。

  1. 散歩の前半に「嗅いでいいタイム」を作る。最初の5〜10分は好きに嗅がせて、欲求を先に満たしてあげる。これだけで後半グイグイ進みやすくなります。
  2. 嗅がせるのは数十秒、合図で切り上げる。うちは「いこっか」の一声で再出発。声と行動をセットにすると犬も切り替えやすいです。
  3. リードはぐいっと引かず、ゆるめて声で誘導する。横や手前に強く引くと犬は反射的に逆に踏ん張ります。上に軽く持ち上げる、声で促す方が伝わります。
  4. 嗅がせたくない場所は近づく前に進路を変える。点字ブロックや融雪剤の路面は、立ち止まる前に向きを変えるのがコツ。止まってからでは遅いです。
  5. 帰ったら足ふきと肉球チェックをする。匂いを嗅いだ場所のことを思えば、足裏の汚れや異物は毎回ささっと拭いておくと安心です。

正直、今でも毎回うまくいくわけではありません。点字ブロックで座り込んで動かない日もあります。それでも「電柱の前で立ち止まるのは、町のニュースを読んでるんだな」と思えるようになってから、散歩の見え方が少し変わりました。

電柱の匂い嗅ぎは悪い癖ではなく散歩の楽しみ

犬が電柱の匂いを嗅ぐのは、情報収集とマーキングという犬らしい理由から。無理に全部やめさせるものではなく、嗅がせていい場所と避けたい場所を分け、時間を区切って付き合うのがちょうどいいスタンスです。

立ち止まりには「嗅ぎたい・怖い・暑い」の3パターンがあるので、まずどれかを見極めるだけでも対応がラクになります。点字ブロックや融雪剤の路面など、避けたい場所だけ気をつけて、あとはパフィのように「町の掲示板」を読む時間を楽しませてあげてください。

この記事を作成していて、パフィが匂いを嗅いでいるシーンの写真が多いことに驚きました。
散歩がお互いにとって、もっと心地よい時間になりますように。